シニア向け市場の多様化
日本は2007年に超高齢社会を迎え、内閣府が発表した「令和元年版高齢社会白書」によると、2040年には日本の人口のうち、およそ3人に1人が65歳以上になると予想されています。
65歳と言えば、一昔前であれば現役を退き、余生を過ごす年齢という印象でしたが、最近は、まだまだ現役世代と変わらない健康で元気な65歳以上の方は少なくありません。
化粧品・健康食品業界においても、このような元気なシニアをターゲットとした市場は今後大きく拡大すると予想され、そのポテンシャルには大きな期待が寄せられています。現在、すでに65歳以上のシニア向け市場でもインターネット通販は普及してきていますが、やはり主流になっているのは電話やテレビ、FAXなどの昔ながらの通販です。しかし、今後インターネットを使うことができる年齢はどんどん上がってきます。そのため、今後のシニア向けインターネット通販市場のポテンシャルには、多くのメーカーが期待をしています。
健康寿命が市場を活性化させる
最近では、「健康寿命」という言葉がメディアでもよく取り上げられるようになりました。健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。超高齢社会を迎えるにあたり、単に長生きをするだけではなく、何歳まで健康な生活を送ることができるのかということについての関心が高まっているのです。
どれだけ年齢を重ねても、人は美しく健康でいたいと考えるものです。健康寿命が注目されることは化粧品・健康食品業界への追い風になっていると言っても過言ではありません。
健康寿命は医療技術の進歩とともに、今後も伸びていくことが予想されます。リタイアする年齢も上がってくるでしょう。そうなると、シニアのライフスタイルも今まで以上に多様化が進むと考えられます。化粧品・健康食品業界でも、様々なシニア向け商材が求められるようになるでしょう。
例えば「60代の忙しいキャリアウーマンをターゲットとしたオールインワン美容液」や、「健康のために走っている高齢者ランナー向けのサプリメント」など、カテゴリーワン戦略の視点から考えると、これまであまり注目されていなかったシニア層の新しい切り口の商品をたくさん生み出すことが可能です。
シニア市場における化粧品や健康食品は、まだ十分にアイデアが出しつくされていないこともあるため、これから新たな切り口の商品がどんどん生まれてくるでしょう。
シニア向け女性化粧品の需要
健康寿命が伸びることにより、特にシニア向けの女性化粧品には多くのメーカーが関心を寄せています。
そのなかでも「シミ・シワ・たるみ」は女性の3大悩みと言われ、現在でも多くのメーカーが様々な商品を販売しています。
特に、40代・50代と歳を重ねるごとにこの悩みは深刻化することもあり、高齢の女性をターゲットとした商品としては継続性が期待できる商品とも言えます。「シミ・シワ・たるみ」は早い人であれば40代からケアを始めます。つまり、専用の化粧品を40代から購入し始めるということです。健康寿命が伸びることで、40代や50代の女性だけでなく、60代、70代の女性もメインのターゲットになってくるでしょう。継続して使ってもらうことができれば、30年以上も商品を購入してもらえる可能性もあり、メーカーにとっては非常に魅力的なマーケットになっていくと言えるのではないでしょうか。
健康寿命が伸びることは、若々しくありたいと願う女性が増えるということです。元気で活発な高齢の女性が増えることで、化粧品にお金をかける女性の割合は増えていくと考えられます。特に価格よりも品質を重視するのがシニア層の特徴です。「高くても良いものであれば買う」という意識を持った顧客が増えることで、市場の活性化に繋がる可能性は高いはずです。
この記事の著者
- EC・通販コンサルタント クリームチームマーケティング代表兼CEO
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2006年より化粧品、健康食品業界に特化したダイレクトマーケティング支援を行い、これまで150社250ブランド超の売上アップを実現。業界に特化した豊富な経験やノウハウ、リソースを提供している。
・著書『化粧品・健康食品業界のためのダイレクトマーケティング成功と失敗の法則』
・著書『化粧品・健康食品EC・D2C新規参入パーフェクトガイド』
・書籍と同名のコラムを日本ネット経済新聞にて連載中
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