顧客に確実に届ける

顧客に確実に届ける(5) 新規顧客と既存顧客

Calling to customer
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「既存顧客」が重要である理由

商品を顧客に確実に届けるためには、顧客管理も重要です。顧客は、新規顧客と既存顧客に分けることができますが、まずは既存顧客からお話を進めていきます。

私がここで、新規顧客ではなく既存顧客から話を進めているのには、実は理由があります。「いちごの法則」をご存じでしょうか?新規顧客に新しく商品を買ってもらうよりも、一度でもあなたの商品を買ってくれたことのある既存顧客の方が、何倍も商品を買ってもらいやすいのです。

たとえば、Aという商品に加えて今回Bという新商品をリリースしたとします。このとき、Aをまったく購入したことがない人にBを勧めても、なかなか購買には至りません。

しかし、Aを買ってくれたことのある人なら、Aという商品のよさを理解してくれていますし、あなたのブランドがどのようなブランドなのかも理解しています。そのため、Bという新商品のよさをゼロから丁寧に訴求しなくても、理解してもらいやすいのです。

いちごの法則とは、「新規顧客に商品を売るよりも、既存顧客に商品を売る方が5倍簡単」という意味が込められています。さらには、顧客の維持や販売に必要な費用についても「いちごの法則」が適用できます。

既存顧客の維持や販売に要する費用は、新規顧客の獲得や、新規顧客への販売に要する費用の1/5で済む、という意味合いもあるのです。

新規顧客に対して商品を訴求するには、さまざまな施策を組み合わせて、さらにそれを継続していかなければなりません。コストもかかりますし、時間もかかります。

Bという新商品を知ってもらうために、Aについても訴求が必要なこともあるかもしれません。しかし既存顧客なら、極端な話「新商品が出ました」とDMを送るだけで訴求ができるのです。

新規顧客の獲得に比べて既存顧客のケアは軽視しがちですが、一度獲得したお客さまは取りこぼさないようにしっかりとケアをし続けることが、とても重要です。

Pull out people from a group of figures. Gather in a new team.

獲得した顧客を離さない方法とは?

では、獲得した顧客を取りこぼさないようにするには、どうすればいいのでしょうか?一言で言うと、顧客とコミュニケーションをとり続ける、ということになります。マーケティングの世界ではCRM(カスタマーリレーションマネジメント)とも呼ばれています。

たとえば、メールマガジンを定期的に送るのもひとつの方法ですし、ステップメールを設定しておいて任意のタイミングでフォローするのもひとつの方法です。こうして接点を持ち続けることで、顧客は「大切にされている」と感じます。そして、商品や、ひいてはあなたというメーカーのことをどんどん好きになってくれるのです。

また、特に大事にしていきたいのが、何年も商品を買ってくれる「ロイヤルカスタマー」と呼ばれる層の顧客です。ロイヤルカスタマーは手放してはいけません。より関係性を深めるために、こちらからもより一層の働きかけが大切になってきます。

たとえば、誕生日に割引券をプレゼントする、「あなただけにお伝えするキャンペーンです」などのコピーで特別感を演出したセールの案内をする。このように、「あなたはとても大切なお客様です」というメッセージをメーカー側がしっかりと伝えていくことで、ロイヤルカスタマーとの関係性が深まります。

VIP privilege program. Cutting in line

将来のロイヤルカスタマーとなる「新規顧客」

続いて、新規顧客の獲得について見ていきます。新規顧客は、将来のロイヤルカスタマーになる可能性を秘めていますから、顧客の獲得にコストや時間がかかるとしても、やはりここは欠かせません。新規顧客を獲得し続けなければ、先細りになってしまいます。

よくある失敗例として、すでにリピーターがたくさんついているからと広告を止めてしまうケースです。広告に限ったことではありませんが、「既存顧客がたくさんいて安定しているから大丈夫だろう」と新規顧客に対する働きかけを止めてしまうのは、得策ではありません。

今は既存顧客がたくさんいて売上も安定しているかもしれませんが、既存顧客はいつ止めてしまうかわからないからです。既存顧客に対しては、「いつかはいなくなるもの」と念頭においておくことも重要です。

新規顧客を獲得するためには、これまでにお伝えした広告やPRなどを実直に実行していくことになりますが、さらにひとつ、新規顧客に商品やブランドを知ってもらうきっかけをつくるために役に立つ施策をお伝えします。それは、コラボやタイアップです。

たとえば、あなたがサプリメントを売りたいときには、広告を打ち、雑誌などに掲載されて認知を広め、さらにECサイトのコンテンツを充実させてSEOで上位表示されることを狙う、といった基本的な進め方があります。

それに加えてコラボやタイアップとは、たとえば街にあるオーガニック専門店に商品を置いてもらえば、そこに来る人は健康に関心が高い人なので、商品を買ってもらえる可能性が高まります。

ほかにも、健康食品や自然素材のものを取り扱っているスーパーマーケットやカフェなども狙い目です。このように、自分だけで市場を開拓するのではなくて、すでに開拓されている市場を借りられるのが、コラボやタイアップの大きなメリットです。

ただ、コラボやタイアップに取り組むときには、自分にとっても相手にとっても相乗効果が得られるかどうかの視点がとても大切です。

サプリメントメーカーとジャンクフードの専門店がコラボしても、互いのメリットを活かすことができないでしょう。20代のプチプラコスメをメインに扱っているお店に50代、60代向けの高価格帯のコスメを置いてもらったとしても、おそらくほとんど売れないでしょう。このようなコラボは、相手にとってもメリットがありません。

コラボやタイアップをするときには、お互いに相互補完でき、相乗効果が見込める相手なのかをしっかり見極めましょう。

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この記事の著者

顧客に確実に届ける(5) 新規顧客と既存顧客 | 通販化粧品・健康食品業界に特化したコンサルティングとダイレクトマーケティング支援
山口尚大EC・通販コンサルタント クリームチームマーケティング代表兼CEO
2006年より化粧品、健康食品業界に特化したダイレクトマーケティング支援を行い、これまで150社250ブランド超の売上アップを実現。業界に特化した豊富な経験やノウハウ、リソースを提供している。

・著書『化粧品・健康食品業界のためのダイレクトマーケティング成功と失敗の法則』
・著書『化粧品・健康食品EC・D2C新規参入パーフェクトガイド』
・書籍と同名のコラムを日本ネット経済新聞にて連載中