事業戦略を立てる

事業戦略を立てる(5) 競合対策

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マーケットには、自社だけでなく必ず他社が存在している

当たり前のことですが、マーケットには多くのメーカーがひしめいています。ポジショニングマップのところでも可視化しましたが、当然自社と競合するメーカーも存在するわけです。

  しかし、なかには競合がいないと思っているメーカーがあることも事実です。もしもあなたが「自社には競合がいない」と考えているのなら、要注意です。

 競合がいないと考えている根拠としてよく見られるのが、「独自の成分を配合しているから」というものです。同じ成分を配合しているメーカーはおらず、自社は唯一無二の存在なのだから、競合がいるはずがないというわけです。

 しかし、思い出してみてください。顧客は機能で購入を決めるのではなく、ベネフィットを感じるから購入を決めるのです。スティーブ・ジョブズが初代iPodのプレゼンのときに5GBではなく「1,000曲」という言葉を選んだのは、それが顧客にとってベネフィットであるからです。

 これを化粧品や健康食品に置き換えてみると、顧客は「美白」「ニキビ肌の改善」「シワ対策」といった、自分にとってのベネフィットを重視して製品を選ぶということです。

 たとえば、化粧品の原材料に「プロジェリン」という成分があります。プロジェリンは老化を促す酵素を抑制する最新型ペプチドで、エイDay10060ジングケアのカテゴリーではとても注目されている成分です。

 仮にあなたのメーカーだけがプロジェリンを化粧品に配合することに成功したとしても、顧客は「エイジングケア」というカテゴリーのなかで比較して製品を選んでいますから、プロジェリンが配合されているかどうかよりも「エイジングケアに適した化粧品なのか」の方が、顧客にとってははるかに重要なのです

Split in the team company, conflicts and strife.

競合調査をしないことによって負ける

自分たちは競合だと思っていないのに、顧客は競合として比較している。このようなケースは往々にしてありますが、競合調査は、自社で想定していない競合他社を知るという意味でも非常に重要です。実際に比較されている競合他社を知っているのと全く知らないのとでは、マーケティングの成果に雲泥の差が出るからです。

    たとえば、エイジングケアというカテゴリーでA社とB社のブランドが比較されていたとします。このとき、顧客が比較するのは製品そのものや価格だけではありません。パッケージデザインや世界観、ブランド名、ECサイトの使いやすさ、決済のスムーズやカスタマー対応など、その製品を通じて体験するありとあらゆることが比較対象となっているのです。

   しかも多くの場合、ユーザーは気になる製品をどちらも試してからお気に入りのブランドを決めるものです。自分ごととして関心を持って製品を選ぶぶん、メーカーよりもユーザーの方がはるかに競合に詳しいのが実情です。

 仮に、A社はB社を競合他社として認定しており、B社に流れている顧客を取り込もうと考えたとしましょう。その場合、まずはB社をリサーチし、なぜ選ばれているのか、どこが評価されているのかを調べます。

 製品のテクスチャーがよいことが大きな要因かもしれませんし、香りがよいことが要因かもしれません。もしくは、しっかりと世界観が構築されており、使うことで癒やされたり、気持ちがワクワクしたりといった情緒的な効果が期待されているのかもしれません。 このように、自社よりも競合他社が優れている点がわかれば、そこを補完することで競合他社よりも優位に立つことができる可能性が高まります。

 もし仮に、B社が全く競合調査をしなかったとしたら、どうでしょうか?A社はたちまちB社の優れている点を分析し、優位に立つように施策を打って出るでしょう。しかしB社はそもそも競合調査をしていないのでA社の追随には気がつきません。そしていつのまにか、A社に追い抜かれて大きく差をつけられてしまうのです。

 ユーザーが比較しているのに自社は知らぬ存ぜぬで何の対策も取らないと、知らないうちに競り負けてしまいます。 

 

Investigating question

EC市場では、競合他社の数は無限に膨らむ

卸の場合、競合といっても範囲が限られています。卸先のドラッグストアや百貨店では同じカテゴリーに属する製品やブランドが競合になりますが、別の店で売られている同じカテゴリーの製品は競合にはなりません。要するに、競合他社の存在は卸先の範囲内に限定されるのです。

 しかし、EC市場の場合は違います。試しに「エイジングケア」で検索してみてください。インターネット広告から自然検索まで、大量の製品がヒットするはずです。ECサイトだけではなく、化粧品に関するメディアや美容ブロガーのブログで紹介されている製品など、ありとあらゆる関連製品が競合になるのです。

Infinity sign on gray sidewalk with woman legs, top view

検索シーンにおいても、独自性を打ち出す

資生堂の有名なブランドに「マジョリカマジョルカ」というブランドがあります。もしもあなたが自社のブランドに似たような名前をつけたとしたら、おそらく検索でマジョリカマジョルカを抜いて上位表示されることは至難の業でしょう。

   また、非常に認知度が高い固有名詞と同じ名詞をブランド名にしてしまうと、ブランド名だけで検索してもヒットしないこともあり得ます。たとえば「レベッカ」というブランド名をつけたとした場合、レベッカと検索してみると、上位はロックバンドのレベッカが占めてしまいます。検索をして求めるサイトが上位に表示しないのは、顧客にとっても不便なものです。

    競合調査をおこなう際には、このように「検索したときに強い競合がいないかどうか」についてもチェックしておくことが重要です。特にEC・D2Cビジネスをする場合には、必ずと言っていいほどブランド名で検索される機会が増えますから、無駄な機会損失を生まないためにも、検索結果における競合調査も欠かさずにおこないましょう。これは、SNS上においても同じことが言えます。

SEO or search engine optimization concept

この記事の著者

事業戦略を立てる(5) 競合対策 | 通販化粧品・健康食品業界に特化したコンサルティングとダイレクトマーケティング支援
山口尚大EC・通販コンサルタント クリームチームマーケティング代表兼CEO
2006年より化粧品、健康食品業界に特化したダイレクトマーケティング支援を行い、これまで150社250ブランド超の売上アップを実現。業界に特化した豊富な経験やノウハウ、リソースを提供している。

・著書『化粧品・健康食品業界のためのダイレクトマーケティング成功と失敗の法則』
・著書『化粧品・健康食品EC・D2C新規参入パーフェクトガイド』
・書籍と同名のコラムを日本ネット経済新聞にて連載中