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化粧品・健康食品D2Cのペルソナは属性と行動と感情の三層で作ります。購入のきっかけとなる生活場面を実在者へのインタビューで具体化し、商品との出会いから購入と継続までの流れをカスタマージャーニーマップで整理します。

※本記事の事例は守秘のため複数の案件を組み合わせて再構成したものです。本文中の数値は個別の実績を証明するものではありません。

購入のきっかけとなる生活場面までを想定する

ターゲットを「30代後半の働く女性」と決めるだけで終わることがあります。これで分かるのは顧客の属性までです。同じ年齢と職業でも、悩みや商品を探し始めるきっかけは人によって違います。

「仕事と育児で自分を後回しにしてきた女性が40代を前に自分の肌を見直したいと感じたとき」まで決めると状況が見えます。商品を探すきっかけや購入をためらう理由まで具体的に考えられるため、顧客が自分の話だと感じる言葉も見つけやすくなるのです。

あるメンズスキンケアブランドでは、当初の顧客像を「30代から40代の男性ビジネスパーソン」としていました。生活場面まで具体化すると、初めて部下を持ち、自分が見られる立場になったと気づいた男性がスキンケアを意識するという、購入のきっかけが見えてきました。

この顧客にとっての入口は「見られる立場になった」という自覚でした。障壁は「今さら何から始めればよいか分からない」というスキンケア経験の少なさです。ここまで想定できるとブランドが何を伝えるべきかが分かります。

属性、行動、感情の三層で顧客を捉える

第1層では年齢や性別、地域、職業といった属性を確認します。第2層では使うSNSや購入場所、生活習慣といった行動を把握します。第3層では不安と期待、過去の経験を確認します。

三層表の内容をテキストで読む
第1層 属性
内容:年齢・性別・地域・職業・収入・家族構成。わかること:最も一般的。属性だけだと差別化できない。
第2層 行動・習慣
内容:使うSNS、スキンケアにかける時間、探し方。わかること:どこで広告に出会い、何に反応するか。
第3層 心理・感情
内容:今の不安、達成したいこと、過去の経験。わかること:「買う理由」と「買わない理由」の両方。

三層を埋める材料には、購入者へのヒアリングや問い合わせ、レビューや解約理由を使ってください。検索に使われた言葉や広告への反応も参考になります。経営者の想像だけで顧客像を決めず、確認できた事実と推測を分けて書くことが大切です。

そのうえで属性と行動、感情の三層を一人の顧客像にまとめます。これがいわゆるペルソナの設定です。私は実務ではこの三層を1枚のペルソナシートにして、問いに答える形で埋めています。

3人〜5人の実在者でペルソナを現実に近づける

インタビューでは友人や知人、社員の中から想定顧客に近い実在者を3人〜5人選んでください。一人ずつ普段の生活の流れを聞き、その中で何を考え、どう行動しているかを確認します。

3人、5人の話だけで市場全体の傾向まで把握するのは難しいかもしれません。それでも想像にはなかった行動や言葉を知り、顧客像を現実に近づけるには十分な場合があります。ここで見つけたいのは、まだ気づいていなかった生活の場面です。

まず聞くのは現在の悩みとこれまでに試したことです。その後に商品を探し始めた出来事や比較した商品、買わなかった理由、最後に選んだ理由へ進みます。最初から「この商品をどう思いますか」と尋ねると目の前の商品への評価に話が限られてしまうため、先に商品は見せません。その人がどのように問題を認識し、何を解決しようとしていたのかを聞いてください。

化粧品なら朝と夜のどちらで使うのか。鏡を見たどの場面で気になり、手持ちの商品とどう使い分けるのか。こうした生活の場面まで聞いてみます。健康食品で聞きたいのは飲む時間や食事と運動との関係に加えて、家族との共有や続かなかった経験です。顧客像が生活レベルまで具体化されると採用すべき容器と容量、説明と配送間隔の条件までもが見えてきます。

インタビューでは本人の言葉をそのまま残してください。「手軽」と要約するより、「子どもを寝かせた後は1本で終わるケアならできる」と記録したほうが、使う時間と許容できる手順まで分かります。こうした言葉は広告に使えるだけでなく、商品や顧客対応を決める根拠にもなります。

ここで作るペルソナはあくまで仮説です。商品販売後は実際に買ってくれた顧客像を正解として、ペルソナ像を修正していきます。つまり最初に想定したペルソナ像は、必ず変化していくものです。

ここでよくある間違いが「できるだけ多くの人へ」を顧客の定義にすることです。将来多くの人へ届くことは目標になり得ます。しかし立ち上げ時に誰のどの場面を優先するかが決まっていなければ、処方と価格、言葉と販売場所の判断は割れてしまいます。絞るのは対象外の人を拒むためというより、最初に強く役立つ相手を決めるためです。

ジャーニーマップで購入までの流れを整理する

ペルソナは顧客をある時点で切り取った姿です。もう1つ、時間の流れで顧客を捉える道具がカスタマージャーニーマップです。商品との出会いから、比較、購入、継続、ファン化までを時系列に並べ、それぞれの場面での行動と心理を書いていきます。

先に三層を整理してあれば、各場面で顧客が何を感じるかまで書けます。順序が逆になると、顧客の感情と経験が分からないまま行動だけを並べた工程表になってしまいます。

ペルソナシートの回答とジャーニーマップまでそろえば、顧客像を具体化する作業はひとまず完了です。あとは売りながら実際の顧客に合わせて直していきます。

本記事は『化粧品・健康食品D2Cのブランド経営』第2章p.43〜46を基に再編集しています。記事単体で読めるように書籍への参照を調整し、本文を「です・ます調」に整えています。

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この記事の著者

山口尚大
山口尚大化粧品・健康食品D2Cコンサルタント・著者
著書3冊|化粧品・健食D2C業界20年。150社250ブランドの実績。新規ブランド立ち上げから既存ビジネスの伸び悩み打開までを事業プロデュース。クリームチームマーケティング代表|日本ネット経済新聞連載中

・著書『化粧品・健康食品業界のためのダイレクトマーケティング成功と失敗の法則』
・著書『化粧品・健康食品EC・D2C新規参入パーフェクトガイド』
・最新刊『化粧品・健康食品D2Cのブランド経営』
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山口尚大

著書3冊|化粧品・健食D2C業界20年。150社250ブランドの実績。新規ブランド立ち上げから既存ビジネスの伸び悩み打開までを事業プロデュース。クリームチームマーケティング代表|日本ネット経済新聞連載中

・著書『化粧品・健康食品業界のためのダイレクトマーケティング成功と失敗の法則』
・著書『化粧品・健康食品EC・D2C新規参入パーフェクトガイド』
・最新刊『化粧品・健康食品D2Cのブランド経営』