広告表現の確認をイメージする虫眼鏡
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化粧品・健康食品の広告表現は商品区分と言える範囲、保有する根拠の順に確認します。文章と写真と体験談を合わせた表示全体の確認方法を整理し、顧客に伝わる言葉を選ぶ前提を解説します。

法令の範囲と根拠から表現を作る

化粧品と健康食品の広告では、書いていない効能を消費者に想像させる表現も安全とは限りません。薬機法の虚偽・誇大広告規制は、明示した言葉だけでなく、表示全体から受ける印象も対象になります。「直接は書かずに暗示させる」こともNGです。

表現を確認する順番は商品区分と承認または届出の範囲、保有する根拠です。化粧品と医薬部外品と健康食品では言える範囲が違うため、原料名を出す場合も配合目的と裏付けに合わせて説明してください。商品全体の効能と誤認されない形にする必要があります。

体験談、写真、専門家のコメント、SNS投稿も同じです。個別の文章が事実でも、前後の見せ方によって効果を保証しているように受け取られれば問題になります。公開前に表示全体を確認し、迷う表現は法務または薬事の担当者へ相談してください。

書籍執筆時点で厚生労働省は海外制度の調査などを踏まえ、今後の広告規制の合理的なあり方を検討するとしていました。ただし改定の時期や範囲は確定していませんでした。将来の緩和を前提に企画せず、公開時点の法令と通知に合わせて言える範囲を十分に確認してください。

商品区分と言える範囲と根拠と全体印象と公開前確認を並べた書籍の表
広告表現を確認する5つの順序
広告表現の確認表をテキストで読む
1 商品区分
化粧品・医薬部外品・健康食品のどれか
2 言える範囲
承認・届出・適正広告基準と一致しているか
3 根拠
表示を支える資料があり、条件を説明できる
4 全体印象
文章・画像・体験談を合わせても誤認を招かないか
5 公開前確認
薬事・法務・媒体ルールを確認したか

成分名の例は顧客の認知を説明するもので、広告に使用できる効能を示すものではありません。成分名だけでも表示全体から未承認の効能や薬理作用を暗示すれば問題になります。商品区分と配合目的、根拠資料を確認し、公開時点の法令・通知に従ってください。

攻めるラインを探さず翻訳される言葉を選ぶ

かつてこの業界にはグレーゾーンを攻める文化がありました。いまその発想は通用しません。当時はグレーとされた表現もすでにブラックです。監視が強化されてSNSの拡散も摘発リスクを高めています。私は攻めるラインを探すのではなく、顧客が自分の知識で理解できる言葉を選びます。その前提は前の節で確認した法令の範囲と根拠を守ることです。ここでいう翻訳は根拠のない暗示を作ることではありません。

「乳酸菌といえば腸」「コラーゲンといえば肌」。ここまでは読んだ瞬間に答えが出たはずです。では「ウロリチンAといえば」。もし答えが浮かんだなら、それはあなたが業界の人間だからです。あなたの顧客には何も浮かびません。この差が広告費になります。

シワに効くとは書けません。しかし「ナイアシンアミド配合」と書けば、美容感度の高い顧客の頭の中ではすでに翻訳が起きています。シワやくすみへの有効性が市場の常識になっているからです。書いていないことを顧客が自分の知識で補完します。それが翻訳です。

スキンケアなら「レチノール」でエイジングケア、「セラミド」で肌バリア、「トラネキサム酸」でシミ。健康食品なら「葉酸」で妊活、「テアニン」で睡眠の質、「腸活」で便秘や肌荒れ。この翻訳はテレビCMや美容雑誌、SNSや口コミが何年もかけて積み上げた成分リテラシーの上に成り立っています。その蓄積があなたの広告の代わりに働きます。

「これはセーフ、これはアウト」と分けて考えるより「どう書けば顧客の頭の中で正しく翻訳されるか」を問うほうが、結果として強い広告になり、攻めるラインからも遠くにいられます。

では翻訳の配線がない成分はどうするのでしょうか。新しく配線を作ることはできます。ただしそれに何が必要かは知っておく必要があります。「クリスマスといえばケンタッキー」の連想は自然に生まれたものではありません。1974年に始まったキャンペーンが半世紀かけて日本の常識にしました。「二日酔いといえばウコン」も2004年の「ウコンの力」以降の広告投資が市場の側に配線を作りました。

つまり配線を作るのは広告の仕事を超えた、事業の仕事です。すでにある連想に乗るなら言語化コストは明日からゼロで済みます。ないものを作るなら年単位の投資を覚悟することになります。どちらを選ぶかは自由ですが、後者を選んだことに気づかないまま回収できない広告費を使い続けるブランドがいちばん多いです。

本記事は『化粧品・健康食品D2Cのブランド経営』p.82〜84を基に再編集しています。記事単体で読めるように書籍への参照を調整し、本文を「です・ます調」に整えています。

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この記事の著者

山口尚大
山口尚大化粧品・健康食品D2Cコンサルタント・著者
著書3冊|化粧品・健食D2C業界20年。150社250ブランドの実績。新規ブランド立ち上げから既存ビジネスの伸び悩み打開までを事業プロデュース。クリームチームマーケティング代表|日本ネット経済新聞連載中

・著書『化粧品・健康食品業界のためのダイレクトマーケティング成功と失敗の法則』
・著書『化粧品・健康食品EC・D2C新規参入パーフェクトガイド』
・最新刊『化粧品・健康食品D2Cのブランド経営』
化粧品・健康食品D2Cは競争が激しく、正しい戦略や事例に学ぶことが成果を左右します。私たちが支援した150社の事例と最新の戦略をまとめたホワイトペーパーをご用意しました。→今すぐ無料で入手する

山口尚大

著書3冊|化粧品・健食D2C業界20年。150社250ブランドの実績。新規ブランド立ち上げから既存ビジネスの伸び悩み打開までを事業プロデュース。クリームチームマーケティング代表|日本ネット経済新聞連載中

・著書『化粧品・健康食品業界のためのダイレクトマーケティング成功と失敗の法則』
・著書『化粧品・健康食品EC・D2C新規参入パーフェクトガイド』
・最新刊『化粧品・健康食品D2Cのブランド経営』