床に並べられた色とりどりの紙飛行機
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D2Cブランドの立ち上げは事業計画から商品開発、ECシステムと物流、マーケティング戦略、ローンチ、グロースの順に確認します。商品と集客と継続を飛行機の構造に重ね、発売前に整える条件を解説します。

※本記事の事例は守秘のため複数の案件を組み合わせて再構成したものです。本文中の数値は個別の実績を証明するものではありません。

重力を上回る揚力の設計図

この市場には4つの重力があります。似た商品がすぐに増え、広告費の回収も遅くなっています。顧客は購入前に比較し、これまでの売り方も同じようには通用しません。重力が消えない中でどう飛ぶかが問題です。

飛行機の飛び方を思い出してください。重力は常にそこにあります。翼の形状とエンジンの推力で「揚力」を生み、それが重力を上回るから機体は地面を離れます。ブランドも同じです。市場の重力は消えません。問題はそれを上回る揚力を設計できるかどうかです。私はこの「揚力設計」を飛行機の構造で考えています。

すでに飛んでいるブランドは、この設計図を「答え合わせ」に使えます。今の不調はどのフェーズの設計が甘いまま離陸したかのサインです。立ち上げ前のチェックリストとしてだけでなく、運航中の機体点検として読んでください。

ブランドという飛行機の構造

飛行機には役割を持つパーツが複数あり、どれが欠けてもまっすぐ飛べません。

エンジンは、なぜこの事業を続けるのかという理由です。MVVとペルソナがここにつながります。作る理由と届けたい相手がはっきりしているほど、売上が伸びない時期にも機体を前へ進める力が続きます。

胴体はプロダクトです。成分や処方、使用感、継続したときの実感がここに集約されます。胴体が弱ければ翼を大きくしても空中分解してしまうのです。「広告を変えても売上が伸びない」ブランドの多くはこの胴体に問題があるため、翼の最適化より先に商品を点検すべき状態です。

左翼は広告です。認知を広げ、新規顧客を獲得するための「量と速度」を作ります。ただし片側の翼だけで飛ぼうとすれば、機体は旋回しながら落ちていきます。

もう片側の右翼がPRです。メディアや専門家のコメント、口コミやレビューなど「第三者が語る」ことで信頼と文脈を作ります。消費者が購入前に「調べる」時代には、右翼がなければ「なぜこのブランドか」に答えられません。左右の翼がそろって初めて、まっすぐ前に飛べます。

尾翼は安定飛行を支えるCRMです。定期購入のシナリオやフォロー、解約防止のコミュニケーションが当たります。継続率が低いブランドは尾翼が機能していないため、新規顧客をいくら獲得しても機体が安定せず、高度を上げられません。

操縦席は経営者が進路を決める場所です。計器である数字を読み、気流である市場を感じながら高度をいつ上げ下げするかを判断します。生存率を分けるのは感覚に加えて守る条件に照らして進路を選べるかどうかです。速度や状況が変わっても「何を譲らないか」を運航条件としてここで確認します。

配線と配管に当たるのがECシステムと物流です。外からは見えませんが、飛んでいる間ずっと機体の各部をつなぎ続けます。注文や決済、配送や問い合わせのどこかが止まれば、翼も尾翼も思うように動かせません。

燃料は資金です。尽きればどんな機体も落ちてしまいます。何に先に使い、何を後回しにするかによって飛行距離が決まります。

実務の要点|伸びないときは、機体のどのパーツに問題があるかを診断してください。エンジンから胴体、翼と尾翼、操縦席、配線と配管、燃料まで、どれが欠けてもまっすぐには飛べません。

ブランド経営を飛行機の各部位に対応させた図5
図5 ブランドという飛行機の構造

6フェーズで行う離陸前の確認

飛行機は離陸前に確認項目を1つずつ点検します。ブランドも同じです。商品、在庫、受注、配送、問い合わせ、計測を確認せずに広告を始めると、注文が入った後に運用が止まります。早く発売したいときほど、離陸後に直せることと、発売前に整えることを分けておきます。

私が伴走するときは6つのフェーズで確認しています。事業計画から商品開発、ECシステムと物流、マーケティング戦略、ローンチ、グロースへと進みます。前のフェーズで決めたことが、次の設計条件になるからです。20年の現場でも、良い打ち手を間違ったタイミングで実行した失敗を多く目にしました。広告の改善やPRも、商品と受注・配送の体制が整う前では成果を受け止められません。何をするかと同時に、いつするかまで決める必要があります。

実務の要点|失敗の多くは順番の誤りです。「何をやるか」より「何からやるか」で結果が変わります。前のフェーズが固まらなければ次の打ち手は意味をなしません。

6つのフェーズを順番に確認する

外枠全体を含む6フェーズの確認条件の表。事業計画からグロースまでの条件と書籍の対応章を示す
6フェーズで確認する条件
6フェーズの確認条件をテキストで読む
1 事業計画
飛行機の部位:航路・燃料。整ったと言える条件:LTV、CPO、原価率、在庫リスク、運転資金の前提をチェックした。
2 商品開発
飛行機の部位:胴体。整ったと言える条件:「広告なしでも継続する」価値、語れる処方の根拠がある。
3 ECシステム・ロジ
飛行機の部位:配線・配管。整ったと言える条件:明日100件の注文が来ても在庫・梱包・問い合わせ・カートで対応できる。
4 マーケティング
飛行機の部位:両翼・尾翼。整ったと言える条件:広告とPRを同時設計、CRMの初期シナリオが準備済み。
5 ローンチ
飛行機の部位:離陸。整ったと言える条件:発売日を決め、その日までに運用の準備を終えている。
6 グロース
飛行機の部位:巡航上昇。整ったと言える条件:仮説を持った改善、回数別の継続率を追う。
事業計画と商品開発とECロジから広告とPRとローンチとグロースへ進む図6
図6 6フェーズのフライト前チェック

本記事は『化粧品・健康食品D2Cのブランド経営』p.49〜52を基に再編集しています。記事単体で読めるように書籍への参照を調整し、本文を「です・ます調」に整えています。

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この記事の著者

山口尚大
山口尚大化粧品・健康食品D2Cコンサルタント・著者
著書3冊|化粧品・健食D2C業界20年。150社250ブランドの実績。新規ブランド立ち上げから既存ビジネスの伸び悩み打開までを事業プロデュース。クリームチームマーケティング代表|日本ネット経済新聞連載中

・著書『化粧品・健康食品業界のためのダイレクトマーケティング成功と失敗の法則』
・著書『化粧品・健康食品EC・D2C新規参入パーフェクトガイド』
・最新刊『化粧品・健康食品D2Cのブランド経営』
化粧品・健康食品D2Cは競争が激しく、正しい戦略や事例に学ぶことが成果を左右します。私たちが支援した150社の事例と最新の戦略をまとめたホワイトペーパーをご用意しました。→今すぐ無料で入手する

山口尚大

著書3冊|化粧品・健食D2C業界20年。150社250ブランドの実績。新規ブランド立ち上げから既存ビジネスの伸び悩み打開までを事業プロデュース。クリームチームマーケティング代表|日本ネット経済新聞連載中

・著書『化粧品・健康食品業界のためのダイレクトマーケティング成功と失敗の法則』
・著書『化粧品・健康食品EC・D2C新規参入パーフェクトガイド』
・最新刊『化粧品・健康食品D2Cのブランド経営』