対話しながら情報を伝え合う打ち合わせの手元
化粧品・健康食品D2Cは競争が激しく、正しい戦略や事例に学ぶことが成果を左右します。私たちが支援した150社の事例と最新の戦略をまとめたホワイトペーパーをご用意しました。→今すぐ無料で入手する

商品と受注・配送の準備が集客設計の前提です。D2Cの集客では広告で接点を広げると同時にPRで信頼を重ねます。検索とSNS、紹介など広告以外の経路も育て、購入を促す施策とブランドを覚えてもらう施策の役割を分けて設計します。

※本記事の事例は守秘のため複数の案件を組み合わせて再構成したものです。本文中の数値は個別の実績を証明するものではありません。

発売前に広告とPRの役割を決める

集客は多くの経営者が最初に考えたがる領域です。だから私はいつもこう伝えています。「広告とPRは翼で、CRMは尾翼です。いずれも胴体と配線・配管ができてから取り付けます。翼だけ作っても飛行機は飛べません」。商品訴求と広告とPRに加えて、SNSとSEOとCRMも組み合わせて考えます。「どの順序で、何を組み合わせるか」まで設計します。

特に強調したいのが広告とPRの同時設計です。多くの事業者の頭には、そもそもPRがありません。「まず広告で売ろう」から設計が始まり、PRは後回しどころか、検討すらされません。ここに落とし穴があります。

広告だけで獲得した顧客は「広告で誘われた」という文脈でブランドを知ります。PRで獲得した顧客の「信頼できるメディアが紹介していた」とは初期の信頼の質がまったく違います。PRで信頼を作りながら広告で量を獲るという同時設計が、信頼の積み上がり方を変えるのです。

PRはメディア露出だけでなく「第三者の声で価値を語ってもらう」全般です。専門家のコメントもユーザーの声も口コミも比較サイトも含まれます。広告が「自分で言う」ものならPRは「他者が語る」ものです。広告で来た人が、検索でレビューを確認し、専門家の推薦を見て「これは本物だ」と判断して購入します。この流れを意図的に設計します。

SEOとSNSは顧客に発見してもらう「発見の仕組み」です。広告で「今すぐ来させる」一方で、SEOとSNSには「いつかたどり着く経路を育てる」投資をします。短期の集客と長期の経路を同時に設計すると広告依存から脱する道が開けます。

実務の要点|広告とPRは「同時に」設計します。広告は自分で価値を伝え、PRでは他者に語ってもらいます。初期の信頼の質を決めるのは最初の接点です。

広告だけに頼らず集客の経路を広告の外に広げる

広告(Paid)だけに依存するのは危険です。媒体の仕様変更や競合の増加でCPOが突然悪化します。だから広告以外のチャネルを早期から育てることが必要です。広告以外のチャネルには次のものがあります。

  1. PR
  2. SEOとLLMO(AIの回答に引用されるための対策)
  3. パートナーシップ
  4. 紹介プログラム

PRは、プレスリリースの配信と、媒体の記者や編集部との関係づくりがこれにあたります。媒体社や有名人、美容関係者へ商品を渡して実際に使ってもらうギフティングもPRに含めます。この節で扱うギフティングは、記事や番組で取り上げてもらう材料を編集側と発信力のある人に渡すための施策です。

媒体との関係で最も成果につながったのは小さな広告枠から始める方法です。まず媒体社へ小さな広告枠を打診して出稿し、打ち合わせを通じて記者や編集部と直接話せる関係を築きます。そこから一般には案内されていない企画のメニューや無料の特集枠を後から案内されることもあります。最初から記事にしてほしいと依頼するより、取引のある相手として編集部と話せる状態を先に整えるほうが取り上げてもらえる機会は増えるのです。

「媒体から取材を受けた」記録はLPや広告での社会的証明になります。

SEOでは検索結果で上位に表示されることを目指します。LLMOではAIの回答に自社の情報が引用されることを目指します。どちらも広告以外の流入を育てる取り組みです。短期では成果が出にくくても記事が積み上がると成果が出てきます。

パートナーシップでは、ターゲットが重なる他ブランドと相互紹介やコラボを行います。紹介プログラムは既存顧客からの友達紹介を促す施策で、知人の信頼が乗った状態で来るため広告経由よりCVRが高く解約率も低くなりやすいです。これらを組み合わせると「広告が機能しない時期」でも集客が止まりません。

オフラインの体験をオンラインの購買につなげる

オフライン接点も、特に50代以上や情報収集をSNSに依存しない層に有効です。ポップアップストアや展示会、試供品の無料配布です。「手に取る・試す・感じる」体験は、オンラインでは作れない記憶を与え、その後の広告や口コミへの反応率を高めます。

健康食品では医療・健康系の展示会や自治体イベントが有効なことがあります。「試して気に入ったらQRコードで申し込む」「参加者限定の特典コード」など、オフラインをオンラインの購買フローに接続する設計をします。

信頼を重ねてから販売につなげる

信頼が先、販売は後。成熟した市場の集客はこの順序で設計します。顧客の広告リテラシーが上がり、売りに来ている広告への反応は下がり続けています。

なぜこの成分を選んだのかを解説するコンテンツは、商品説明である以上に誠実さの証明です。商品を売り込まずに悩みへ答えることが、このブランドは私の悩みを分かっているという信頼につながります。創業者とスタッフの物語は信頼できる人がいるという印象を作り、価格競争を超えて選ばれる理由になるのです。

課題は即効性がないことです。しかし6か月、1年と積めば広告依存を下げながら信頼が育ちます。長期の視点を持てるブランドだけが取れる戦略です。

売る広告と覚えてもらう広告を分ける

獲得を目的とする広告と指名や想起を育てる発信は役割が違います。立ち上げ期でも将来の自然流入を作る活動は止めず、事業の資金余力と現在の課題に応じた配分が必要です。固定した比率へ当てはめずに指名検索と再訪と粗利回収への影響を確認してください。

実務の要点|「売る広告」と「覚えてもらう広告」は別物です。売る一辺倒では永遠に「初対面の売り込み」から抜けられません。

本記事は『化粧品・健康食品D2Cのブランド経営』p.74〜77を基に再編集しています。記事単体で読めるように書籍への参照を調整し、本文を「です・ます調」に整えています。

書籍の紹介・購入はこちら

この記事の著者

山口尚大
山口尚大化粧品・健康食品D2Cコンサルタント・著者
著書3冊|化粧品・健食D2C業界20年。150社250ブランドの実績。新規ブランド立ち上げから既存ビジネスの伸び悩み打開までを事業プロデュース。クリームチームマーケティング代表|日本ネット経済新聞連載中

・著書『化粧品・健康食品業界のためのダイレクトマーケティング成功と失敗の法則』
・著書『化粧品・健康食品EC・D2C新規参入パーフェクトガイド』
・最新刊『化粧品・健康食品D2Cのブランド経営』
化粧品・健康食品D2Cは競争が激しく、正しい戦略や事例に学ぶことが成果を左右します。私たちが支援した150社の事例と最新の戦略をまとめたホワイトペーパーをご用意しました。→今すぐ無料で入手する

山口尚大

著書3冊|化粧品・健食D2C業界20年。150社250ブランドの実績。新規ブランド立ち上げから既存ビジネスの伸び悩み打開までを事業プロデュース。クリームチームマーケティング代表|日本ネット経済新聞連載中

・著書『化粧品・健康食品業界のためのダイレクトマーケティング成功と失敗の法則』
・著書『化粧品・健康食品EC・D2C新規参入パーフェクトガイド』
・最新刊『化粧品・健康食品D2Cのブランド経営』