品質が良いからといって消費者に選ばれるわけではない
多くのメーカーは、良い商品を作れば消費者がその良さを理解し、誰かが必ず手にとってくれると思ってしまいがちです。つまり、商品先行である「プロダクトアウト」の考え方で商品を販売しているケースが多いと言えます。
「この商品には○○大学の教授が発見した効果の高い成分が入っている」「まだ日本にない特別な商品を輸入できることになった」そんな良いものだから、絶対に消費者に受け入れてもらえてすぐに売れるはず。そう考えて安易に発売日を迎える企業はとても多いのです。
当然、その商品はこれまでにないくらい良い品質の商品かもしれませんが、実際に消費者が自然とその商品の良さを理解して手に取ってくれるかと言うと、そう簡単ではありません。誰にも手に取られることなく、ほとんど売れ残ってしまう可能性すらあります。消費者の視点を無視して商品を販売してしまうと、どんなに品質的に良いものであっても売上には繋がらないのです。
消費者がはじめて自分の知らない商品に出合ったとき、どこでその商品の善し悪しを判断し、購入まで至るのでしょうか。
それは商品に対して抱く「イメージ」や「感情」という直感的なものです。もちろん手にとった化粧品の中に含まれる成分や配合量を真っ先にチェックする人もいると思いますが、多くの消費者はイメージや感情を重要視し、商品の購入を決定しています。
つまり、成分や効能以外の部分を消費者に伝えていかないと、自社の製品を選んではもらえないのです。その点を考えても、他社との差別化を図る際に最も重要になると考えられるのは、その商品に対するイメージだと言えるでしょう。
化粧品広告にモデルや女優が使われる本当の理由
よく化粧品のCMでモデルやハイクラスの女優などが起用されていますが、これは商品イメージのアイコンとしての役割を果たしていると言えます。モデルや女優をCMに起用することで、消費者に商品を使うことで得られる具体的なゴールイメージを与えているのです。「自分もあの人のようになりたい」「理想に近づきたい」そのように消費者に思わせることで、他社の化粧品とイメージの面で差別化を行うことができます。
消費者にとって重要なのは、商品そのものがどういった商品なのかではなく、自分が「どう感じているか」という点であり、自分が信じていると思えるものを信じるのです。そのことに最も強く影響を与えるものが、イメージ、つまり「見た目」なのです。
見た目は関係ない、中身で勝負だ ! というのは実は大きな間違いです。パッケージやボトル、化粧品自体の色味など、ユーザーに見た目で分かる部分は最も重要です。逆に言うならば、きちんと商品のイメージが伝わらない場合、商品のイメージは勝手に消費者につくられてしまいます。
例えば高級化粧品を販売するのに、突然くじ引きがはじまり1等が当たれば商品が半額で購入できる、そんなランディングページをつくってしまうと、消費者にチープな印象を与えてしまい、本来与えたいはずの高級感のあるイメージを浸透させることはできません。
もちろん安く購入することができるため、一時的には売上に繋がるかもしれませんが、その代わりに高級化粧品というブランドイメージは損なわれてしまうため、本来売ろうとしていた高級志向の化粧品の価格では高すぎると消費者が感じてしまい、売れなくなるという失敗に繋がるのです。
商品は売れれば良いというだけではなく、どのようなイメージを持たせて売るかも重要です。商品のブランドイメージをどのように消費者に伝えるか、販売する際に考えることはとても重要なのです。
この記事の著者
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2006年より化粧品、健康食品業界に特化したダイレクトマーケティング支援を行い、これまで150社250ブランド超の売上アップを実現。業界に特化した豊富な経験やノウハウ、リソースを提供している。
・著書『化粧品・健康食品業界のためのダイレクトマーケティング成功と失敗の法則』
・著書『化粧品・健康食品EC・D2C新規参入パーフェクトガイド』
・書籍と同名のコラムを日本ネット経済新聞にて連載中
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