では、実際のクリエイティブのABテストはどのように行うべきなのでしょうか。
ABテストは、「消費者に与える影響が大きな部分」から「小さな部分」へと検証を進めることがポイントです(図8)。
例えば、化粧水の広告を作る場合を想定してみましょう。同じ商品について「毛穴の悩みについてフォーカスし訴求していくパターン」と、「保湿効果の高さについての効能効果を訴求していくパターン」の2つをつくります。たとえ同じ商品だとしても、訴求する内容が異なるため、消費者に伝わる情報や印象は全く異なったものとなります。
具体的には、ファーストビュー(広告やランディングページにアクセスしたユーザーが最初に見る画面の範囲)において、どのような内容を訴求しているかが最も重要です。このように、まずはわかりやすい大きな訴求軸をテストしていくことから始めて、どちらの訴求軸の反応が良かったかを検証し、効果の良かったものを採用していきます。
そしてさらに別の訴求軸のテストを行います。その次は、もう少し細かい部分の表現やライティングの検証を行います。上記の例で言えば、保湿効果の高さに訴求するコピーを変えてみるとどうなのかを検証します。「潤い」という表現がいいのか、「極潤肌」という表現のほうが反応がいいのかなど、キャッチコピーも無数に存在します。
表現のテストが終わったら、次に写真を変更してみるとどうなのかを考えてみます。商品の写真がいいのか、モデルの写真がいいのか、またはユーザーが撮影した雰囲気の写真がいいのかなどということです。
大きな部分から小さな部分へと、段々と変更箇所を狭めていきます。ポイントは、コピーや写真など複数の要素を同時に変えるのではなく、どちらか一部のみの要素だけを変更してテストするということです。複数の要素を変えてしまうと、どの変更が結果に影響したのかがわからなくなってしまい、テストの検証効果が半減してしまいます。
ちなみに、AとB、2つのパターンで検証するよりも、ABCと3パターンあったほうが、より早く効果の高い広告を作るための情報が得られます。なるべく早期に効果の高い広告を作るため、最初から5~10パターンのランディングページを用意し、検証することで、無駄な広告費を使わずに済むという面もあります。
最近では「Googleオプティマイザー」といった無料で利用できるツールもありますから、それを利用することで効率的に広告効果のテストを行うことができます。このように、緻密な設計のもと、正しくテストを行っていくことで、間違いなく広告効果や反応が上がっていきます。なぜなら、悪い要素を排除して良いものを取り入れていくプロセス上、そのような結果が導き出されることは明確だからです。