すべてのビジネス施策のゴールは、消費者にある影響を与え、狙った行動を取ってもらうことです。
この書籍におけるテーマで言えば、「商品を購入してもらうためには、どのような影響を与えれば良いのか」と言い換えることができます。それを考える際に、絶対に知っておかなければならないのは人間の基本的な欲求を表した、「マズローの欲求 5 段階」です(図 10)。
聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。人間の欲求を 5 段階のピラミッドで構成し、低階層の欲求が満たされると、より高次の階層の欲求を欲するという心理学の考え方です。この 5 段階の欲求を元に、「なぜ人は物を買うのか」と具体的に落とし込んでいくと、人が物を買う理由や本質的な要素が見えてきます。
例えば「キレイな服を着たい」とか「異性から少しでもよく思われたい」など、誰もが思うような感情は 5 段階の欲求で言うと、「社会的欲求」や「尊厳欲求」があるから、と説明がつきます。そういった欲求を刺激することで「なぜこれを買うのか?」を理由づけできるようになります。消費者を動かすための広告やオファーなど、様々な施策を考える際には、この理由付けをしっかりと意識した上で決めなければなりません。
これは、消費者にどのようなメッセージを伝えるべきか、という表現の部分にも同様に当てはまります。あらゆる広告施策や表現を考える際に、ベースとなるのが行動心理学なのです。