ブランディングとレスポンスの両立はユニクロに学べ
マーケティングの仕組みづくりを非常に効果的に展開している企業と言えば、ユニクロが参考になります。
ユニクロは「ブランディング」と「セールス」を上手く組み合わせたマーケティング戦略をとっています。オフィシャルサイトやテレビ CM では外国人モデルやアスリートなどを起用し、洗練されたイメージで商品が高品質であることをアピールしている一方、週末に家に届くチラシは洗練されたイメージとはかけ離れ、まるでスーパーのチラシのように価格の安さを全面的に押し出したセールス感の溢れるものとなっています。
前者がブランディングを意識した手法であることは、言うまでもありません。一方、チラシの方は実際の購買を促すための「セールス」に当たるものです。
実は、この使い分けが非常に効果的なのです。テレビ CM などでブランドに対して良い印象を持ってもらった状態でチラシに触れることで、「高品質な」「洗練された」ものを、手に入りやすい価格で購入できることが伝わり、購買行動に繋がっていきます。
もしユニクロがブランディングをせずに、安売りのチラシだけを配っていたらどうだったでしょうか。「安かろう悪かろう」というイメージを持たれて、顧客層も狭まっていたかもしれません。
ブランディングは、「商品のイメージを消費者に認知させる」ことを目的としたマーケティング活動です。そのため、ブランディングにコストをかけても売上にすぐに直結しないという面はあります。
しかし、「ブランディングなんてやってもすぐに売上があがらないだろう」「うちにはまだブランディングは早いから」という考えは間違っています。ブランディングを行うことでセールスとしての広告の相乗効果は強くなり、また商品の本質的な価値やイメージを顧客に伝えることで、顧客を繋ぎ止めることができるのです。
マーケティングは、一度仕組みとしてつくりあげれば、ずっと使い続けることができる「資産」であるとこれまでにも述べてきました。現在の化粧品・健康食品業界における通販ビジネスにおいて、このマーケティングという資産を最大限に活用できたメーカーこそが年間売上 30 億円以上の TOP30 に入れるのです。競合ひしめく業界の中で、他社から一歩抜け出すためにはマーケティングという仕組みづくりに正しく向き合っていくことが求められていると言えるでしょう。
セールスとブランディングを使い分ける
では、通販で化粧品や健康食品を扱う皆さんの会社・商品においても「セールス」と「ブランディング」を両立させることは可能なのでしょうか。ここでポイントになるのは、「顧客との接触点により、両方を使い分けること」だと私は考えています。
先ほどお話ししたユニクロの例では、CM ではブランディング、チラシではセールスと大きく分けることができます。これがオンラインだとどうでしょうか。
オンライン広告には様々な配信方法が存在します。その配信方法の違いをユーザーとの接触点としてとらえコントロールすることが可能です。
例えばある商品を告知する場合、まずは成分や素材、開発ストーリーなどブランディング要素を重視した広告クリエイティブを出稿します。はじめてその商品に触れた消費者は、そこでその商品についておおよそのことを理解します。次に、そのユーザーに対してリターゲティング広告をあてていきます。そこでの広告は、価格や特典を強調したレスポンスを重視したセールスのためのランディングページです。
いまや、ユーザーは複数の広告に接触することが当たり前ですから、それぞれの購入までのプロセスを考えて設計することが重要です。
「検索連動型広告にはブランディング」「リターゲティングではセールス」などと、ユーザーとの接点によってクリエイティブを分けておくことで、ブランディング的なイメージも訴求しつつ、レスポンスを効率よく取っていくことが可能になります。
企業にとってのブランディングは価格競争から抜け出すための重要な要素です。しっかりとしたブランディングを行ってから販売に繋がるような広告を打つことで、価格競争をすることなく利益率の高い商品を販売することが可能になるのです。
この記事の著者
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2006年より化粧品、健康食品業界に特化したダイレクトマーケティング支援を行い、これまで150社250ブランド超の売上アップを実現。業界に特化した豊富な経験やノウハウ、リソースを提供している。
・著書『化粧品・健康食品業界のためのダイレクトマーケティング成功と失敗の法則』
・著書『化粧品・健康食品EC・D2C新規参入パーフェクトガイド』
・書籍と同名のコラムを日本ネット経済新聞にて連載中
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