ペルソナのつくり方と問題点
ターゲットとしているユーザーが具体的に何を考えているのか、どういう価値観を持っているのか。こういった典型的なユーザー像を明確にするために、マーケティングではペルソナという架空の人物像を作ります。
実際にその人物が実在しているかのように、年齢や性別、居住地、職業、役職、年収、趣味、特技、価値観、家族構成……など詳細な情報を設定していき、架空のユーザーとして人格(ペルソナ)を与え、商品開発やユーザーの需要を把握するのです。
ペルソナの作成は簡単そうに見えますが、単純に想像でつくってしまうと実際には存在しないような人物像が出来上がってしまい、分析として使えなくなるため注意が必要です。
ペルソナづくりよりもターゲットの分析が目的
ペルソナはマーケティングとして分析できるレベルで詳細につくることが理想的です。
例えば普段読んでいる雑誌や好きなテレビ番組、購入している服のブランドなど、細かければ細かいほど参考になります。
しかし、先にも述べたように想像だけを膨らませてしまうと「本当にこんな人いるの?」となってしまいます。進めてみるとわかりますが、実在するような架空の人物像をつくることはかなり難易度が高いのです。
もしこれからペルソナを設定しようと考えているのであれば、架空の人物ではなく、周囲にいる実在の人物の中からユーザー像に近い人物を選び、その人から色々と話を聞いて、ペルソナを想定していくという手段が効果的です。
もし実際の顧客に協力を依頼することができるのであれば、売上ごとに顧客を分類し、そこで得られたデータを調査し、分析した内容からペルソナをつくることが最も理想的であると言えるでしょう。
本来、ペルソナをつくる理由は、自社の商品を使っているユーザーがどんな悩みがあり、どんなニーズを持っているのかを分析することにあります。
つまり、分析しその結果を活かすためです。目的はペルソナをつくることではなく、その後の分析が最も重要であることを忘れてはいけません。
顧客の個人的な関心事は何か
ペルソナを利用し、顧客がどのような悩みを持っているのか、そのニーズを把握することができれば、その解決策が自社の商品になるようにマーケティングをしていくことが可能になります。
解決策を伝えるために、顧客像にあった伝え方のパターンを考えるのです。例えばオールインワンゲルを例にとってみましょう。
化粧水から美容液、クリームまで全てこの1本でまかなえる。そんなオールインワンゲルを販売するとき、売り方としては様々なアプローチが考えられます。
「ラインで揃えるよりも安い」「他の商品よりも成分の種類が多く、何十種類も入っている」「ひと手間でスキンケアを終えることができて手軽」その内容は様々だと思います。
顧客に訴求する表現には様々な選択肢がありますが、どの選択肢を選ぶのかとなったときに、想定している顧客像をしっかりと捉えていると商品は非常に売りやすいと言えます。
例えばターゲットを子供がいる主婦と想定した場合「毎朝バタバタしていて時間がないあなたへ」「お弁当を作るのに忙しいお母さんへ」「たった 1 分でスキンケアが済ませられます」そのようなメッセージを伝えることができると、共感性が高まるためターゲットにも響き、商品も手に取ってもらいやすくなるのです。
また、商品のロットが限られている中小メーカーの場合、利益率を重視した販売戦略が必要になるため、価格も高く設定しなければ事業としては厳しいところもあるでしょう。高単価で売るためには顧客を説得する必要があります。そのため、販売のアプローチとして、化粧水から美容液、クリームとすべてラインで揃えるとだいたい 15,000 円もかかるけれども、このオールインワンゲルであれば、9,000 円ですべてをカバーすることができます。という形で顧客に訴求すれば、「ラインで揃えるより安く、しかも時短ができる」と、価格に対する説得力を持たせることができます。
商品の顧客像をしっかりと想定すると、顧客が何に悩んでいるのか、関心はどんなことなのかを分析しやすくなります。顧客の関心事を把握することができれば、そこから悩みを創出し解決方法を提示することができるため、顧客の本当の姿を知ることはとても重要であると言えるでしょう。
この記事の著者
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2006年より化粧品、健康食品業界に特化したダイレクトマーケティング支援を行い、これまで150社250ブランド超の売上アップを実現。業界に特化した豊富な経験やノウハウ、リソースを提供している。
・著書『化粧品・健康食品業界のためのダイレクトマーケティング成功と失敗の法則』
・著書『化粧品・健康食品EC・D2C新規参入パーフェクトガイド』
・書籍と同名のコラムを日本ネット経済新聞にて連載中
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