マーケティングにおける成功法則

自社サイトとモール、どちらを使う?化粧品・健康食品業界での販売戦略

Two Girls Window Shopping in Mall
クリームチームマーケティングでは150社250ブランドの支援実績と独自のノウハウを元に、戦略立案から施策実行まで一気通貫して支援しています。化粧品・健康食品D2Cビジネスに課題がある方はお気軽にご相談ください。⇒無料のパーソナルコンサルティングで相談する

安易なモール出店に注意せよ

通販で化粧品や健康食品ビジネスを始める際、「自社サイト」と「楽天や Amazon などのモール(ショップ)」のどちらで販売をスタートしようか悩まれるケースが非常に多いように思います。すでに通販ビジネスをスタートされているメーカーでさえも「自社サイト」と「モール」の違いを正確に理解せずに運営されている場合も多いのではないでしょうか。

「自社サイト」と「モール」では、全く違った顧客アプローチであると考える必要があります。その違いを理解せずに安易に販売をスタートしてしまうと、取り返しのつかない状況を招いてしまいます。

自社サイトは、顧客を直接創出し販売、育てていく、ダイレクトマーケティングを行うためのプラットホームとなります。つまりその活動のすべてが資産化していくのです。自社サイトでの販売であれば、お客様と直接繋がることができ、情報を得ながら長期的な関係を築くことが可能です。

一方で楽天や Amazon のようなモールでは、単純に商品を販売する場所を提供されるだけであり、お客様の細かい情報も取れなければ、充分なマーケティング活動もできないというデメリットがあります。つまり、モールのお客様はあくまで「モールのお客様」であり、自社のお客様として様々な繋がりを持つことやマーケティングをしていくことは非常に難しいのです。

また、出店のための手数料負担や、モールのシステム変更、規約の変更、送料やポイント負担など、アンコントローラブルな要素は挙げればキリがありません。

さらに言うと、モール内での出店も激化しているため、モール内検索結果で優位な結果を得るための広告費なども想像以上に必要になることも覚えておくべきでしょう。

モールだけに自社製品の販売とマーケティングを依存することがいかに不安定な状況か、ご理解いただけるかと思います。そういう点を理解せずに、ただ売りやすい、集客力があるからと安易に出店してしまうのは、私はおすすめしません。

Wooden cubes form a bigger square

店舗販売から通販参入時にひそむ罠

また、店舗での販売チャンネルを持つメーカーが通販事業を始める際に注意しておくべき点があります。

とある化粧品を販売するメーカーがオーガニック成分を贅沢に使った B という化粧水を通信販売で展開し始めました。B は店舗では入荷してもすぐに在庫切れになるほどの人気商品です。この B を自社サイトで販売し始めたところ、最初は順調に売れていきました。しかし、ある日から突然 B の売上がみるみる下がってきたのです。不思議に思った担当者がネット上をくまなく調べてみると、なんと Amazon で正規価格よりも 500 円以上も安く販売されていたのです。しかも Amazon で購入すれば、送料無料で翌日には届きます。そのため、今まで自社サイトで購入していた顧客が Amazon に流れてしまったのでしょう。

こういった話は業界ではよくある話です。安く売っていたのは、新規で取引を始めた卸業者のようでした。商品を店舗に卸すのではなく、Amazon などに横流しをしていたのです。このケースではその卸業者を特定し、商品を卸すのをやめたのですが、このように、これまで店舗を中心に販売していたメーカーが通販を始めたときに多いのが、モールで安売りされてしまうケースです。通販はいつでも誰でもアクセスできるからこそ、価格のコントロール力を失い、安売りされやすいのです。

そもそも店舗と通販ではビジネスモデルが全く違います。小売店舗はあくまで販売のための流通経路です。販売したあとの顧客をどうするのか、といった視点はそもそもありません。いわゆるマスマーケティングに近い考え方で、広く認知し販売していくことを求められます。そのため商品価格も手に取りやす
い低価格、中価格が一般的でしょう。

一方、通販はダイレクトマーケティングの考え方をとるのが一般的です。広く認知し販売するよりもターゲットを絞って、個人に深くアプローチしていく方法です。商品価格もより付加
価値をつけた高価格帯で販売していくことが求められます。そのため、これまで店舗に卸していたものと同じ商品では通販には向いてないことがほとんどです。

価格コントロールをしやすくするためにも、一般に流通していない通販専用商品を用意するなど通販だけのメリットをつくることが必要です。また、オフィシャルな価格よりも安くモールで販売されないよう、自社の公式ショップとしてモールに出店しておく戦略も必要です。

そうしておけば検索結果に同じ商品が出てきたとしても、多少高くても公式ショップやオフィシャルショップで買ったほうが安心だというインセンティブが働き、売上を失ってしまう心配は少なくなります。

The granite cliffs of Moras

自社通販とモール販売のベストアンサー

では、自社通販とモール通販をうまく使い分けていくためにはどのような方法が良いのでしょうか。

図7に自社通販と通販モールの比較をまとめたとおり、それぞれ異なる特徴があり、Amazonや楽天などのモールで購入するお客様も多数いるということは事実です。

しかし、直接お客様との繋がりをもち、継続的に顧客として維持していくためには、自社サイトにお客様を呼び込む必要があります。その際に必要になるのは「自社サイトで買う理由」です。お客様としては、同じ商品であれば「より安く」「共通ポイントが利用でき」「明日には手元に届く」など、モールで購入することのメリットを享受しています。

それに対抗して、自社サイトで買うことのメリットや価値を積極的に伝える必要があるのです。何か問題が生じても返品が可能であることや、サービス面やオフィシャルサイトで購入したほうがポイントの還元率が高いなどのお得感、誕生日には特別にプレゼントが届くといった特別感の演出など、自社サイトだけのメリットをしっかりと洗い出して伝えていなければ、消費者に自社サイトで購入してもらうことは難しいのです。

例えば、ダイソンは全国の家電量販店でも同じ商品を販売しています。ただ、自社サイトでの特典を明確にしていて、積極的にサイトへの誘導を行っています。オンライン限定カラーが販売されていたり、非売品のスタンドなどが無料でプレゼントされていたりといった自社サイトならではの特典を受けられます。

さらには、住所などをユーザー登録することで、様々なサポートが受けられます。こういった取り組みはモールと自社サイトの優位性を考える際にとても参考になるでしょう。モールでの売上がアップする分、全体でみれば良しとする場合もありますが、通販ビジネスとして「自社サイト」と「モール」との売上のバランスは非常に大切です。

「モール」依存が高くなりすぎれば、手数料の値上げや条件負担増などによって売上の一部が簡単になくなってしまうことも想定されます。そういったことを避けるため、自社サイトで購入するメリットを常に開発し、顧客に伝える努力をしていく必要があるのです。

図7:自社通販と通販モールの比較表

自社サイトとモール、どちらを使う?化粧品・健康食品業界での販売戦略 | 通販化粧品・健康食品業界に特化したコンサルティングとダイレクトマーケティング支援

この記事の著者

自社サイトとモール、どちらを使う?化粧品・健康食品業界での販売戦略 | 通販化粧品・健康食品業界に特化したコンサルティングとダイレクトマーケティング支援
山口尚大EC・通販コンサルタント クリームチームマーケティング代表兼CEO
2006年より化粧品、健康食品業界に特化したダイレクトマーケティング支援を行い、これまで150社250ブランド超の売上アップを実現。業界に特化した豊富な経験やノウハウ、リソースを提供している。

・著書『化粧品・健康食品業界のためのダイレクトマーケティング成功と失敗の法則』
・著書『化粧品・健康食品EC・D2C新規参入パーフェクトガイド』
・書籍と同名のコラムを日本ネット経済新聞にて連載中
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