別の記事でもお話ししましたが、競合の多い業界において「カテゴリーワン」を取ることは非常に重要な考え方です。
「カテゴリーワン」というのは、これまでにない新しいカテゴリー=市場を生み出し、その中で一番になるという考え方です。ビジネス戦略、特にダイレクトマーケティングにおいては「他社と競争して勝つ」ことはナンセンスであり、競争をしないからこそ勝てる、という戦略が最も有利にビジネスを進めることができます。特に中小メーカーであれば、他社がひしめき合うカテゴリーで争っても、先行者に勝つことは非常に難しいと言えます。一方、自分が作った市場であれば競合はいないため、いきなりトップになれます。この考え方がカテゴリーワン戦略です。
自分だけの市場を作るというのはとても難しいと感じるかもしれません。しかし、まったく世の中に無いものを作るわけではなく、視点を少し変えるだけで新しいカテゴリーを作ることができるのです。その一例をご紹介します。
どの業界でもそうですが、製品とは人の悩みを解決するソリューションとなっています。例えばエアコンは「暑くて不快だなあ」という悩みに対して室内の温度を下げるための解決策です。掃除機であれば「掃除を楽にできたらいいのに」という悩みに関する解決策です。
化粧品や健康食品は、消費者の美容や健康の悩みを解決するものです。そこで、その悩みを洗い出す方法として「体の部位」×「悩み」でマトリックスを作り、これまでにフォーカスされていなかったニーズを見つけていくのです。
例えば、次ページの図12のように頭皮、おでこ、目もと、など体の部位を横軸に、次に「ニキビ」や「肌荒れ」「毛穴」などの悩みを縦軸に書き、それをかけ合わせた内容を新たなニーズとして検討していくのです。「おでこ×ニキビ」は普通の悩みかもしれませんが「腕×ニキビ」や「おしり×ニキビ」などの悩みにフォーカスすれば競合はいないかもしれません。このように組み合わせると、今までに誰も目をつけていないカテゴリーが出てきます。