スキンケアアイテムは、すぐには効果を感じにくいということは前にお話ししました。はじめて使う化粧水を手に出したとき、顔につけた瞬間に「ハリが変わった」「浸透している」と感じる消費者は稀ではないでしょうか。
では、消費者はどのようにそのスキンケア商品の良し悪しを判断しているのでしょうか。それは使った瞬間の印象です。「商品を肌に乗せた時の触感」「テクスチャー」「におい」など、使った瞬間にわかることを元に全体の印象を決定づけています。
対面でも「第一印象が大事」と言われるのと同様に、化粧品でも第一印象とも言える使い心地がとても大事なものなのです。それによって、効果をより感じ、継続して使ってみてもいいかな、といった感情に繋がります。
そのため、商品を開発する段階から、設定したターゲットに合わせた使い心地を考えておくことがとても重要なのです。
使った瞬間にわかることはテクスチャーだけではありません。香りや見た目の印象もその代表例です。甘いお花のような匂いなのか、少しケミカルで硬い匂いなのか、見た目で言えばプッシュして使う容器なのか、逆さにして出して使う容器なのかなど、細部の使い勝手に至るまで、徹底的に考えて設計されるべきでしょう。
このような細かな点こそが、顧客が抱く商品の印象に大きく繋がってきます。そのため、利用する顧客のことを考え、戦略的に商品を設計しておかなければなりません。スキンケア商品はその効果そのもの以上に、はじめて使った瞬間の印象が勝負になるのです。
ただ、人の好みは主観的で、全員が良いと感じる使い心地をつくることは現実的には難しいでしょう。
では、どのように使い心地を考えたらいいのでしょうか。最も重要なのは、商品を使うであろうターゲットのことを考え、そこに好みを合わせた設計していくということです。
例えば、ターゲットがどういった肌の悩みをもっているのかを考えます。乾燥やくすみ、シミなのか、どんな肌質なのか。乾燥肌か脂性なのか。年齢は20歳か40歳か。夏使うものなのか、冬に使うものなのか。それが明確になっていなければ、本当の意味で好みをターゲットに合わせることはできません。
これを調べるためには、やはりターゲットに近い人に使ってもらって意見をもらうのが一番です。通常、新商品などの試作品は社内のスタッフの意見を聞いていくものですが、ターゲットに近いスタッフの意見でないと意味がありません。
20歳の肌が感じる乾燥と40歳の肌が感じる乾燥では、それに合ったスキンケアのテクスチャーは全く違ってきます。「この化粧水はさっぱりしすぎて、私の肌には保湿力が足りないわ」と安易に判断されないためには、ターゲットに合わせた使い心地を考え、それを商品の設計に活かしていくことが重要なのです。