組織づくりにおける成功法則

未来のリーダーに必須! マーケティング思考で経営を見つめ直す

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クリームチームマーケティングでは150社250ブランドの支援実績と独自のノウハウを元に、戦略立案から施策実行まで一気通貫して支援しています。化粧品・健康食品D2Cビジネスに課題がある方はお気軽にご相談ください。⇒無料のパーソナルコンサルティングで相談する

マーケティングを重視した経営をしているか

まだどこも発売していない商品を開発したので、販売したい」このようなご相談を受けるとき、私は「どのように売るつもりで開発したのですか?」とうかがっています。商品がどれほど素晴らしいものであったとしても、それが顧客にとって本当に需要があるものなのか、どのように売ることを前提として作った商品なのか、そこが明確でなければせっかくの新商品も全く売れずに終わってしまう可能性があるからです。

メーカーの最も重要な仕事は、基本的にはマーケティングだと私は考えています。もう少し踏み込んで言うならば、マーケティングという仕組みをつくることが最も重要だと言ったほうがわかりやすいかもしれません。商品を「作る」と「売る」であれば、「売る」ことを優先する意識が必要だということです。「すごい新製品を開発した」というプロダクトアウトのスタンスではなく、作った商品をどのように販売し、いかに顧客に継続して使ってもらうか。その仕組みづくりをしっかりと考えることがメーカーの最も重要な仕事だと言えるでしょう。

その前提の上で、成功するメーカーとそうではないメーカーの「組織としての違い」は何かと言うと、意思決定の権限を持つ人が「マーケティングを重視する」という意識をしっかり持っているかどうかということです。中小企業であれば社長、大企業であるならば事業部長などです。こういった人たちがどれだけ自社のマーケティングを重視しているのか、ここが成功するメーカーとしての試金石になっているのです。

意思決定ができる立場の人がなぜマーケティングを重視するべきかと言うと、マーケティングという業務が、ある程度の決定権を持っていないとできない仕事であるからです。

例えば、商品のブランディングひとつとってもそうです。商品のイメージを高級志向にシフトしていくと決めたとしても、高級志向にするための価格から広告、ブランドイメージまで、担当者レベルで一気に変えるのは非常に難しいのではないでしょうか。

もちろん少しずつ変えていくことはできますが、それだとあまりにもスピード感が足りません。しかし、これが社長や事業部長など意思決定ができる立場にある人が率先してやるのであればどうでしょうか。変化のスピードは担当者とは比べ物にならないと言えます。

マーケティングの土台を作る上で、大企業であれば事業部長、中小企業ではやはり社長がキーマンとなります。大きなメーカーでも社長の一声でコールセンターができたり、ブランドのイメージが一気に変わったりすることはざらにあります。

以前、かなり大きな売上規模のメーカーのマーケティングをお手伝いさせていただいたことがありますが、そのときに社長がここまでマーケティングの業務に入ってくるのかと思うほど、マーケティングを意識した経営をとっていて大変驚いた経験があります。

もちろん意思決定ができる分、独りよがりの判断にならないように注意は必要ですが、売上をあげるための最も重要な業務だからこそ、組織の中で重要なポジションにある人がしっかりとマーケティングのことを意識しておく必要があるのです。

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コールセンターは外注化すべきか

マーケティングの仕組みづくりと同様に、メーカーとして最重要な仕事のひとつが「顧客理解を深めること」です。というのも、顧客理解を深めてそれを商品開発に活かして、品質を改善することがメーカーの努めだからです。また、何よりも顧客に対する理解が足りないようでは、新規顧客の獲得はできません。顧客理解を深めるということはメーカーにとって売上に大きく関わる最重要の仕事なのです。

「顧客の生の声を聞くためコールセンターを作りました」という話はよく聞きますが、その詳細を聞くと全ての業務を外注に任せているというメーカーは意外にも多くあります。

もちろんコールセンターはあるに越したことはないのですが、顧客と接点を直接持つことができる窓口を外注化するというのは、メーカーとしての本質から少しずれているのではないかと私は思うのです。コールセンターはただの窓口ではなく、実際には顧客理解を最も深めることができる場所だということは知っておくべきでしょう。例えば、クレームの電話ひとつでも、顧客が自社の商品に対してどのような不満を持っているのかを知ることができます。顧客の生の声を最前線で聞くことができる非常にコアな現場が、コールセンターなのです。

また、コールセンターを外注化すると、情報が入るまでのスピードが遅くなるというデメリットも生じます。ダイレクトに情報が入ってこない分、対応も遅れますし、下手をすると大事な情報を見逃してしまうリスクもあります。

顧客と直接関わる業務は、決して外注化すべきではありません。コスト面で外注している場合、外注とのコミュニケーションを密に取り顧客からの声を漏らさないようにすることが重要です。

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商品ではなくソリューションを提供する

メーカーの多くは自社の商品を「販売」することを第一に考えています。商品が売れている理由を「顧客が自社の商品を求めているから」と考えているメーカーも多いのではないでしょうか。

しかし、これは間違った認識です。顧客は商品を求めているわけではありません。厳密に言うならば、顧客は商品ではなくソリューションを求めているのです。顧客は、悩みを解決するためのソリューションの一環として、化粧品や健康食品を購入しているということです。そのため、仮に他のソリューションの選択肢があった場合、化粧品や健康食品を購入するという選択肢をとらない可能性もあるということです。

商品だけでなく、顧客の悩みを解決するソリューションへ意識を向けるだけでもビジネスチャンスは大きく拡大するのです。

Definition of solution

石鹸メーカーがタオルを販売している理由

商品」ではなく「ソリューション」を提供する。このような考え方を上手く利用したことで、売上を大きく伸ばした石鹸メーカーがあります。その石鹸メーカーは現在、石鹸とは全く関係のないタオルなどの商品も自社で開発して販売しています。

タオルを販売している理由は「顧客が洗顔の際にタオルで肌を痛めないようにするため」。洗顔の際に、洗顔専用のタオルも石鹸と一緒に使ってもらうことで、肌荒れを効果的に防ぐことができるという発想から、タオルを販売し始めたそうなのです。

これは、顧客の「肌荒れ」という悩みに対し、石鹸という商品にとらわれず、洗顔というアプローチから顧客へソリューションを提供した例だと言えます。一般的なメーカーであれば「品質の良い石鹸をつくろう」「現状の商品をレベルアップさせよう」となりがちなのですが、このメーカーには顧客にソリューションを提供するという意識が根付いていたため、石鹸とは全く異なるタオルを売るという発想にたどり着いたと考えられます。商品ありきのプロダクトアウトの意識だと、なかなかたどり着けない発想です。

このように自社を「商品を販売するメーカー」ではなく「ソリューションを提供する企業」だと意識することで、全く新しい可能性が見えてくることもあります。上記の石鹸メーカーのように石鹸ではなく、洗顔専用のタオルといった別の商材を思いつくかもしれませんし、全く関係のない商材やサービスが生まれるかもしれません。「ソリューションを提供する」という意識をもつことで、これからのビジネスチャンスは大きく広がっていくのではないでしょうか。

frosted glass bottle with face cream or fluid on white towl

この記事の著者

未来のリーダーに必須! マーケティング思考で経営を見つめ直す | 通販化粧品・健康食品業界に特化したコンサルティングとダイレクトマーケティング支援
山口尚大EC・通販コンサルタント クリームチームマーケティング代表兼CEO
2006年より化粧品、健康食品業界に特化したダイレクトマーケティング支援を行い、これまで150社250ブランド超の売上アップを実現。業界に特化した豊富な経験やノウハウ、リソースを提供している。

・著書『化粧品・健康食品業界のためのダイレクトマーケティング成功と失敗の法則』
・著書『化粧品・健康食品EC・D2C新規参入パーフェクトガイド』
・書籍と同名のコラムを日本ネット経済新聞にて連載中