既存顧客の分類方法として一番よく知られているのは、「RFM」で分類する方法です。RFM とは、直近の購入時期を示す「Recency(リーセンシー)」、購入の頻度を示す「Frequency(フリークエンシー)」、購入金額を示す「Monetary(マネタリー)」の頭文字をとったものです。こと、化粧品・健康食品の場合は、そこに購入商品を示す「Product(プロダクト)」を前提条件として付け加えた、「P +RFM」での分類が非常に有効です。
なぜなら、全商品ラインナップの中から「どの商品をこれまでに購入したか」を知ることで、顧客分類をする上で一番影響の大きい「悩み」を把握することができるからです。この 4 つの指標で分類を考え、オファーを設計していきます。例えば、化粧水など基礎化粧品の購入者で直近の購入が1ヶ月以内、金額は1回平均 6,000 円の支払い、これまで 6 回購入している顧客がいるとします。この顧客は現在の優良客です。一方、12,000 円の支払い、12 回も購入していたが1年以内の購入がなくなってしまった顧客は、いわゆる「優良だった休眠客」と呼ぶことができます。このように何パターンかに顧客層を分類して、それぞれに適切なオファーをしていくのです。
実際には、商品ごとに個別のオファーをしているケースはあると思いますが、そこから一歩踏み出して、P + RFM まで分析してオファー設計をしているメーカーはごくわずかです。細かい分析はオペレーションやシステムの問題が大きいことは理解できますが、ここまで個別のオファーをすることで、より適切なオファーを設計することができ、顧客ごとの反応率がアップします。ぜひ取り組んでいただきたい施策です。
しかも、既存顧客にアプローチをするのであれば、新規に広告費をかける必要がありません。メルマガや DM を送るだけでいいのです。新規顧客を獲得するコストに比べると圧倒的に費用がかからないため、その分、利益は大きくなるのです。DM には 1 通数十円というコストが掛かりますが、高騰している新規顧客獲得の費用に比べれば圧倒的に安いと言えるでしょう。新規顧客の獲得の前に、既存顧客をしっかりとフォローすることが大事です。既存顧客をおろそかにするのは売上を半分以上捨ててしまうようなもので、きちんとフォローできる環境は整えていくべきでしょう。