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新規よりも既存顧客を優先すべき理由

売上アップを考える際に、まず「どのようにして新規のお客様を増やすか」と考えるメーカーがほとんどだと思います。新規顧客を獲得しやすい広告媒体やインフルエンサーなどの PR 活動について、様々な情報収集を行っているでしょう。

しかし、すでに通販ビジネスを行っているのであれば、新規獲得よりも優先して考えるべきことがあります。それが、既存顧客へのアプローチです。これまでに一度でも商品を買っていただけたお客様に目を向けてみると何千、何万単位でリストをお持ちのメーカーも多いものです。ダイレクトマーケティングにおいては、新規に顧客を獲得するよりも、既存顧客からの売上を優先したほうが、はるかに効率的だとされています。新規顧客を獲得するには広告を出稿する必要があり、それに対するコストも大きくかかってくるからです。

これまでお話ししたように、新規顧客の獲得コストは年々、高騰しています。一方、これまで一度でも商品を買ってくれたお客様のことを考えるとどうでしょう。彼女ら彼らの情報はすでに手に入っています。いつ、何を買ったのか、どのくらいの頻度で購入しているのか、いつ注文が来なくなってしまったのか。その情報を元に新しくオファーを設定し、既存のお客様個別にメッセージをつくり、そこから売上をあげると考えるのです。これは、顧客情報を保持できるリストビジネス=ダイレクトマーケティングを行っている企業にしかできないアプローチです。

当然、既存顧客へのアプローチを頻繁に行っているメーカーもありますが、運用やシステム上の問題もあり、すべての既存顧客を一緒にしてアプローチしているケースが非常に多くあります。それよりももっと効果的なのは、やはり顧客ごとに分類してオファーする方法なのです。

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既存顧客の分類は「P+RFM」で行う

既存顧客の分類方法として一番よく知られているのは、「RFM」で分類する方法です。RFM とは、直近の購入時期を示す「Recency(リーセンシー)」、購入の頻度を示す「Frequency(フリークエンシー)」、購入金額を示す「Monetary(マネタリー)」の頭文字をとったものです。こと、化粧品・健康食品の場合は、そこに購入商品を示す「Product(プロダクト)」を前提条件として付け加えた、「P +RFM」での分類が非常に有効です。

なぜなら、全商品ラインナップの中から「どの商品をこれまでに購入したか」を知ることで、顧客分類をする上で一番影響の大きい「悩み」を把握することができるからです。この 4 つの指標で分類を考え、オファーを設計していきます。例えば、化粧水など基礎化粧品の購入者で直近の購入が1ヶ月以内、金額は1回平均 6,000 円の支払い、これまで 6 回購入している顧客がいるとします。この顧客は現在の優良客です。一方、12,000 円の支払い、12 回も購入していたが1年以内の購入がなくなってしまった顧客は、いわゆる「優良だった休眠客」と呼ぶことができます。このように何パターンかに顧客層を分類して、それぞれに適切なオファーをしていくのです。

実際には、商品ごとに個別のオファーをしているケースはあると思いますが、そこから一歩踏み出して、P + RFM まで分析してオファー設計をしているメーカーはごくわずかです。細かい分析はオペレーションやシステムの問題が大きいことは理解できますが、ここまで個別のオファーをすることで、より適切なオファーを設計することができ、顧客ごとの反応率がアップします。ぜひ取り組んでいただきたい施策です。

しかも、既存顧客にアプローチをするのであれば、新規に広告費をかける必要がありません。メルマガや DM を送るだけでいいのです。新規顧客を獲得するコストに比べると圧倒的に費用がかからないため、その分、利益は大きくなるのです。DM には 1 通数十円というコストが掛かりますが、高騰している新規顧客獲得の費用に比べれば圧倒的に安いと言えるでしょう。新規顧客の獲得の前に、既存顧客をしっかりとフォローすることが大事です。既存顧客をおろそかにするのは売上を半分以上捨ててしまうようなもので、きちんとフォローできる環境は整えていくべきでしょう。

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なぜ既存顧客はやめていくのか、その答え

既存顧客はしっかりとフォローをしていないと、あっという間に他社製品に心変わりをします。既存顧客がやめていく理由として挙げられる一番の理由、それは購入後のサービス、フォローが不十分もしくは普通だったということです。「心動かすコミュニケーションではなかった」ということが、離脱の理由になるのです。

既存顧客は放置されるとリピートしなくなります。既存顧客が他社に移った理由を探ったある調査では、何か明確な失態がクレームとなって他社に移ってしまったのは 1 割程度で、その他のほとんどが、特に理由もなくやめてしまっているのです。ハーバード・ビジネス・レビューによると、メーカーが顧客維持のための努力をするだけで 82%の顧客損失を防ぐことができるというデータがあります。

逆に考えると、ほとんどのメーカーが既存顧客に対して十分なフォローをしておらず、放置している状態にあるということです。手厚いアフターフォローの一例として、あるスキンケアメーカーでは、ユーザーの誕生日にプレゼント施策を実施しています。そのメーカーの誕生日プレゼントは驚くほど豪華で、「おめでとうございます」と書いた分厚い封筒の中に、高級シートマスクが入っているのです。おそらく、普通に購入しても1000 円はくだらない、なかなかの高級品。そのメーカーは既存顧客の維持に相当なコストをかけて、顧客との関係を強固にしています。ユーザーにとっては手厚くもてなされているようで嬉しいし、顧客として大事にされているという感覚がしっかりと伝わるのです。

前述した新規獲得コストに比べれば、プレゼントのためのコストのほうがやはり割安です。多少のコストをかけたとしても、既存顧客のロイヤリティアップやリピートが見込めるのであれば、問題にならないのではないでしょうか。

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この記事の著者

獲得したあとの顧客にフォーカスする | 通販化粧品・健康食品業界に特化したダイレクトマーケティング支援とコンサルティング
山口尚大EC・通販コンサルタント クリームチームマーケティング代表兼CEO
2006年より化粧品、健康食品業界に特化したダイレクトマーケティング支援を行い、これまで150社250ブランド超の売上アップを実現。業界に特化した豊富な経験やノウハウ、リソースを提供している。