マーケティングにおける成功法則

あなたの売りたい商品には物語があるか?

Interesting story

ストーリーは消費者に商品の「本質」を伝える

つぎに、消費者に商品価値を伝えるには、どのような方法が効果的なのでしょうか。そこで必要になってくるのが「ストーリー」です。商品の成分や効果を箇条書きにして書き連ねても、その良さは消費者には伝わりません。しかし、ストーリー仕立てにして紹介することで、どのような商品なのか、使うことでどのようなメリットがあるのかを、わかりやすく具体的に伝えることができるようになります。「A」という植物を使った化粧水を例にしてみましょう。

A という植物には赤ワインの 34 倍のポリフェノールが含まれており、抗酸化作用が強く、肌のコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸の減少を阻害し、非常に高い保湿効果があります─。


これを「A という成分は保湿効果があります」「赤ワインの34 倍のポリフェノールが含まれています」といった形で説明しても、消費者はピンと来ません。そこで、ストーリーにすることでその商品の効果やその背景を効率よく伝えるのです。次のストーリーをご覧ください。

Story of My Hat

とある夫婦の話。結婚して 10 年、30 代半ばになった妻が、ここ数年ひどい顔の肌荒れに悩んでいる。毎日のようにクリームを塗ったりしているけれども、すぐに乾燥してつらそうなのが見て取れる。ある日、会社の出張で北海道に行った際に地元の人たちと食事をする機会があったのだが、北海道の人は総じてみんな肌がきれいであることに気づいた。自分と同じくらいの年齢の人だけでなく、50 代や 60 代の人もみんな肌荒れには無縁そうな、きめ細かいきれいな肌をして いる。ふと興味が湧いて「普段、どんな化粧水を使っているんですか」と尋ねてみると、北海道など一部の地域にしか群生しない A という植物をそのまま顔にパックしているといういう話を聞いた。なんでも、北海道では 昔から A を庭先で育てている人も多く、化粧品だけでなく料理にも使う人もいるらしい。保湿効果が高く美容効果が高い成分が多く含まれていて、最近は様々な大学や研究所からも注目されるようになってきているそうだ。もしかすると、妻の肌荒れも A で良くなるかもしれない─。そう思って、A をお土産として持って帰り、教えてもらった方法で化粧水を作って妻に使ってもらったら、肌荒れが嘘だったかのように収まり、とてもきれいな肌になった。

ストーリー仕立てにし、物語として伝えることで「共感」できるポイントをつくることができるので、消費者の頭にも商品の魅力やイメージがすっと入っていくのです。これはストーリーで伝えるからこそのメリットだと言えます。

共感は消費者を動かすパワフルなトリガー

商品の価値を伝えるにはストーリーを使ったほうが非常に有効であるということは、理解していただけたかと思います。

しかし、実際にどんな物語をつくれば効果があるのかとなると、なかなか難しいと考え込んでしまう方も多いかもしれません。商品のストーリーをつくる上で一番重要なことは、「消費者が共感できるポイントをつくる」という視点を持つことです。

この商品を使うであろう、ターゲットの心に残るような共感ポイントをしっかりとつくるのです。例えば先程の A という植物を使った化粧水の例で言うと、奥さんの描写の中に「小さくてやんちゃな子供がいる」とか「共働きで仕事をしている」という設定を入れてみたりして「毎日忙しくしている人」「朝は特にお手入れする時間がない」そんな内容を付け加えてみるのです。

そうするとターゲットの頭の中には登場人物と共感できるポイントがたくさん生まれ、どういう人に向けた商品なのかイメージがしやすくなります。商品の価値を浸透させるには「共感を持てるポイントを織り込んだストーリー」をつくることが重要です。消費者が自分に当てはまると思うようなストーリーをつくることで、その商品が自分にとって必要なものであるかのように感じ、購入してくれることになるからです。

Empathy Closeup

他社製品を使うことを不安にさせるストーリーテクニック

また、ストーリーを使った別のテクニックとして、「他社の製品に不安を感じさせるような内容」をストーリーの中に盛り込むことで、自社の商品が他社の商品よりも優れていることを伝えることもできます。

例えば、先程の化粧水のストーリーに、「余分な化学薬品は入れず天然由来成分しか使わずに製造した」という過程なども加えれば、天然の植物を使ったオーガニックな化粧水なのだろうというブランドイメージが伝えられます。あわせて、奥さんが化学成分が含まれた化粧品をずっと利用していたという経緯などを伝えると、今まで化学成分が含まれた化粧水を使って肌荒れに悩んでいた人、もともと化学薬品に抵抗があるような人などが手に取るきっかけを作ることができるのです。

もちろん他社の製品を貶すような形で言ってしまうと法律に引っかかりますが、ストーリーの中の自然な流れで自社の商品が他社よりも優れていることを伝えることができれば、消費者の購入意欲はぐっと高まります。

Playful shy woman hiding face with her hands

動画を使えば、ストーリーはより伝わる

最近では文章ではなく、動画やムービーを使って消費者に訴えるケースが増えてきました。動画のほうが文章より情報量が多く、情報が圧倒的に伝わりやすいのです。

これはメラビアンの法則と言って、情報の受け手は視覚情報に最も影響されやすいという心理学の法則によるものです(図5)。
「言語情報」「視覚情報」「聴覚情報」それぞれの情報が受け手にどれだけの影響を与えるのかを数値化した図からもわかるように、動画は「視覚情報」「聴覚情報」をフルに活用するため、より多くの情報を伝えることができるのです。

例えば朝日が差し込む部屋の中で、家族の分の朝食の準備をしながら慌ただしく身支度をしている女性の動画を見れば、「朝から忙しそうだな」「お母さんなのかな」「スーツを着ているから、仕事も持っているのだろうな」と、視覚から得られる情報の中から、各々の共感できる部分を自然と探すものです。こういった詳細な点も消費者が汲み取ることができるため、動画を用いてストーリーを伝えるという方法は非常に効果があるのです。

図5:メラビアンの法則

あなたの売りたい商品には物語があるか? | 通販化粧品・健康食品業界に特化したダイレクトマーケティング支援とコンサルティング

この記事の著者

あなたの売りたい商品には物語があるか? | 通販化粧品・健康食品業界に特化したダイレクトマーケティング支援とコンサルティング
山口尚大EC・通販コンサルタント クリームチームマーケティング代表兼CEO
2006年より化粧品、健康食品業界に特化したダイレクトマーケティング支援を行い、これまで150社250ブランド超の売上アップを実現。業界に特化した豊富な経験やノウハウ、リソースを提供している。