Skin Care Products. Black woman holding jar of moisturizing cream, closeup

なぜ2割を大事にしないのか

2割の顧客が8割の売上をつくっている。これが有名な「パレートの法則」です。これは、ダイレクトマーケティングにおいても当てはまります。

既存顧客のなかでも、特にお金を使ってくれる「ロイヤルカスタマー」をどれだけ大切にしていくか、これで将来の売上は大きく変わってきます。

あるメーカーは、年間である一定額を購入している顧客のことをロイヤルカスタマーと位置づけ、優遇しています。その企業は、お米が原料の美容液を販売していて、お米自体も地方の提携農家が育てたとても品質の高いものを使っています。そこで、毎年収穫の時期になると、そこで取れたお米をロイヤルカスタマー向けにプレゼントしているのです。

「化粧品と同じく、栄養価の高いお米です。年に一度のこの時期にぜひご賞味ください」そのようなメッセージと共に、収穫時期に、ロイヤルカスタマーにだけプレゼントを送っているのです。突然お米が送られてきた顧客は、驚きや「自分だけの特別感」を感じることができます。「しっかりと自分を見てくれている」と、大事にされていることが伝わるのです。

一般的なノベルティやサンプル品などをプレゼントするよりも、特別感を感じられる演出です。何よりも、自分がメーカーを支えているロイヤルカスタマーだという意識も芽生えさせることもできるため、うまく顧客の心を掴んでいる好例だと言えます。

こういったロイヤルカスタマー向けの特別な取り組みに対しては、できる限り大きく投資をしていく必要があります。これまで何の施策も行っていなければ、その分、感じる効果も大きくなるでしょう。

Woman surrounded by presents

お問い合わせ窓口の重要な役割

最近、ロイヤルカスタマー向けの対応窓口として、電話によるカスタマーセンターが改めて見直されています。メールやウェブのお問い合わせフォームだけではなく、顧客からの相談窓口として、電話での対応を行うことで、顧客のロイヤリティ向上に繋がるのです。

本来、カスタマーセンターを設ける理由は、注文の受注や商品に対する要望やクレーム、お肌の状態に関する相談などがメインですが、個人的な世間話だけをされる顧客もいるそうです。そういった世間話の中で、親身に相談を受けたり話を聞いてあげたりするだけでも、新しい商品の購入に繋がることがあります。電話1本で何万円もの売上につながるケースもあるのです。

特に、高齢のお客様でそのようなケースがよくあると聞きます。社会の変化に伴いカスタマーセンターの役割も変化してきています。単純な受注やサポート窓口として対応するだけではなく、顧客に寄り添った対応することで、顧客にとってはまた違った価値を感じることができ、それが売上をつくっているのです。

そのため、効率化のみを考え、顧客との接触場所をウェブフォームのみに絞ってしまうのは非常にもったいないと感じます。もちろん、コールセンターを外注して大規模な窓口を作ると、人件費など固定費やコストは確実にかかってきます。

しかし、直接電話で話ができるような窓口が存在していることで顧客の安心感や信頼度というのは圧倒的に上がりますし、結果的に他社との差別化や売上にも大きく影響してきます。そのため、どのような規模のメーカーでも導入を検討するメリットは十分にあるのではないでしょうか。

Office desk with headset and keyboard

最上位品を用意する

ロイヤルカスタマーと呼ばれる層は、「価格」よりも「価値」を重視する傾向にあります。ある商品ラインナップ中、最上位の品質の商品であれば、一定数が興味を持ち購入を検討します。

例えば、8,000円で通常販売している美容液「A」があるとします。この「A」の美容成分を2倍にした「Aプレミアム」という商品を発売した場合、価格を倍にして販売することは難しくありません。

なぜなら、ロイヤルカスタマーは既存の商品を気に入って使い続けています。その中でさらに良いもの、最上位品と謳っているものがあれば、手に入れてみたい、一度使ってみたいと考えるものです。ビジネス戦略としても、低価格で多数に売るよりも、少数に高い価格で販売するほうが圧倒的に効率的です。

顧客としても、メーカーが常により良い商品を提供しようとする考え方は歓迎ですし、それが自分の好きな商品やブランドであれば尚更です。今の商品ラインナップに何を追加すべきか悩んだときは、人気商品の最上位品を用意することを一番に考えると良いでしょう。成分の含有量を増やしたり、パッケージを高級路線にしてみたり、新たな価値を付与することができれば、現在よりも高価格で販売できると考えられます。

このように、すでに売上の大部分を担うロイヤルカスタマーにさらに価値を提供するにはどうすればよいかといった考え方も、売上創出には重要です。

Best Idea Concept

ロイヤルカスタマーは育成していくもの

ダイレクトマーケティングにおけるCRMとは、顧客獲得から維持、そしてロイヤルカスタマーへの「育成」という部分までを指しています。ロイヤルカスタマーとは自然に生まれてくるのを待つのではなく、「育てていく」ものなのです。メーカーは、ロイヤルカスタマーを積極的に創出することを考えていくべきです。

新規に顧客を獲得したあと、何度も何度も繰り返しアプローチすることで既存顧客として継続させていきます。そして商品の購入を継続した既存顧客への追加投資やアフターフォローを積極的に行うことで、ロイヤルカスタマーに成長させる。このように全体の道筋を意識して、戦略的に顧客へのアプローチをかけていくことが、ロイヤルカスタマーの創出には必要です。

ここをしっかりと意識していなければ、すぐに他のメーカーに顧客を取られてしまいます。これまでの投資が水の泡とならないようにも、継続したアプローチが必要だということは肝に銘じなくてはならないのです。

Road in Alaska

この記事の著者

最も価値のある顧客を育てる | 通販化粧品・健康食品業界に特化したダイレクトマーケティング支援とコンサルティング
山口尚大EC・通販コンサルタント クリームチームマーケティング代表兼CEO
2006年より化粧品、健康食品業界に特化したダイレクトマーケティング支援を行い、これまで150社250ブランド超の売上アップを実現。業界に特化した豊富な経験やノウハウ、リソースを提供している。