売れる商品をつくる

売れる商品をつくる(3) 視覚戦略

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EC・D2C サイトならではの視覚戦略

百貨店やドラッグストアなどの実店舗で製品を展開する場合は、顧客が手に取って製品の様子を確かめてから購入することができます。ボトルデザインや外箱のデザイン、テクスチャーなども確認できるため、イメージと実物との間にギャップがあまり生じません。

しかしECサイトや通販サイトでは、実際に手に取って確かめることができません。顧客はメーカーが提供する製品の写真や動画などを見て判断するしかないわけです。先ほど、視覚情報が非常に重要で、購買意欲にも大きく影響する情報であるとお伝えしました。しかし一方で、視覚情報のみで購買意欲を高めることも難しいものがあるのです。そこで、製品そのものに対する視覚情報をできるだけ多彩に提供することが重要になります。たとえば、LP=ランディングページ(ある商品だけを売るためだけに構成されたチラシのようなページ)やECサイト上で製品の画像を載せるときに、製品だけが写っている画像を数枚載せるのではなく、さまざまな角度から撮影した画像やモデルが使っている様子、製品を連想させる写真など、いろいろな画像を使うことで、製品に対して多層的なイメージを与えることができるようになります。

イメージ画像は、製品の画像と同じくらい重要度の高いものです。

化粧品や健康食品でよく見かけるのが、実際に配合されている素材をイメージ画像として使うことです。たとえば本書でも例に挙げたSHIROのカレンデュラオイルのページには、カレンデュラオイルの花の画像が使われています。

このほかにも、たとえばビタミンCを配合している美容液の周りにレモンを置いた画像など、さまざまなイメージ画像が活用されています。イメージ画像は製品だけの画像よりも情報量が豊富なので、顧客はより多くの情報を読み取ってくれるのです。みずみずしいレモンのイメージ画像であれば、「この製品には新鮮なビタミンCがたくさん含まれていそう」という印象を顧客に与えることができます。テキストで「ビタミンCがこれだけの量、配合されています」といくらアピールしても、

みずみずしいレモンのイメージ画像にはかないません。特にECサイトでは、こうしたイメージ画像が非常に重要になってくるのです。

Watercolor Wonders: LGBTQ+ Illustrator Crafting Captivating Visuals

化粧品と健康食品では、デザインの考え方が異なる

化粧品と健康食品のECサイトをいろいろ眺めていると、ある違いがあることに気づきます。化粧品は情緒的なデザインが多いのに対して、健康食品は機能的なデザインが多いのです。

化粧品のパッケージをいろいろ見ていくとわかりますが、配合している素材をそのままパッケージにデザインしているものは多くありません。みずみずしさ、しっとり感、凜とした美しさ、しなやかさなど、化粧品のデザインにはこうした感覚的・情緒的な印象を与える抽象的なデザインが多いのです。

それは、顧客が化粧品を使用するときに、機能的な効果だけではなく「使うとワクワクする」「明日も頑張れそう」「おしゃれな自分になった気がする」といったような、情緒的な効果も求めているからです。

一方、健康食品のデザインは感覚的・情緒的な印象を持たせる意図があまりありません。試しに、サプリメントのパッケージデザインをインターネットで検索してみてください。

最近は化粧品に近い感覚的なデザインも増えてはきましたが、パッケージには配合している素材の写真やイラストを載せていたり、サプリにどんな栄養素が含まれているかがわかりやすく図で示されていたりします。さながら会議で使うプレゼン資料のようです。それは、顧客が摂取したい成分を求めてサプリメントを購入するからです。

心も満たしたいというニーズがある化粧品。身体的な悩みを解消したいというニーズが強い健康食品。このニーズの違いが、デザインの考え方にも影響しています。

ちなみに、デザインを考えるときには、日本カラーデザイン研究所が開発した「イメージスケール」がとても役に立ちます。これは色が人に与える印象をマッピングしたもので、「にぎやかさ」「クラシック」「ナチュラル」など、色の配合によって与える印象について可視化したものです。インターネットで検索するとすぐに見つかりますので、ぜひ参考にしてみてください。

Color chart

この記事の著者

売れる商品をつくる(3) 視覚戦略 | 通販化粧品・健康食品業界に特化したコンサルティングとダイレクトマーケティング支援
山口尚大EC・通販コンサルタント クリームチームマーケティング代表兼CEO
2006年より化粧品、健康食品業界に特化したダイレクトマーケティング支援を行い、これまで150社250ブランド超の売上アップを実現。業界に特化した豊富な経験やノウハウ、リソースを提供している。

・著書『化粧品・健康食品業界のためのダイレクトマーケティング成功と失敗の法則』
・著書『化粧品・健康食品EC・D2C新規参入パーフェクトガイド』
・書籍と同名のコラムを日本ネット経済新聞にて連載中