インターネットでの商品販売のプラットフォームとなるカートシステムが重要であるのと同様に、商品配送を担うロジスティックスも、とても重要なポイントとなります。昨今の配送費の値上げなどは、通販ビジネスの成否を左右する大きな関心ごとです。
ここでは、ロジスティックスのあるべき姿を消費者側から考えてみましょう。
ネットでの買い物で、消費者の満足度が最も高くなるのは、決済を完了した瞬間です。「買うべきか、買わないのか」一生懸命考え吟味しているときは、階段を一歩一歩上がっていく状態ですが、「買おう」と購入に至り決済してからは、満足しきって階段を降りていくことになります。決済後からすぐに顧客の満足度はどんどん下がり、急速に興味を失っていくのです。そのため、メーカーは消費者の満足度や興味が下がり切る前に、商品をすばやく届ける必要があります。
Amazonをはじめ、ネットで購入したものが翌日には届くのが当たり前という時代になっています。そのような中で、「4日〜5日後に発送します」「1週間程度でお手元にお届けします」と書いてある化粧品や健康食品のECサイトは、商品販売後の顧客満足度を考えると、それだけでかなりの不利益となり得ます。もちろん売上にも影響しているでしょう。
システムとの連携など、物理的な問題がハードルなのかもしれませんが、今では様々なロジスティックスサービスもあります。本当に現在の配送システムがベストなのかということは、メーカーとして常に疑問を抱いておかなければなりません。
翌日配送は難しいかもしれませんが、今よりも早く届けることができるロジスティックスサービスを提供する会社を探してみる価値はあると思います。
同様に、送料の安さだけではなく、どの配送業者を使うのかもしっかりと考えておく必要があります。一部の配送業者は、配達時のサービスにかなり差があるようです。地域や担当者によっても差があり、一概には言えませんが、再配達の対応や時間指定を無視するなど、悪質な場合もあります。そういったことがあると、配送業者の問題にもかかわらず、自社のブランド価値まで落ちてしまうこともあるので注意が必要です。
最後に、送料の設定に関しても注意が必要です。少し前までは、ECのサイトの送料は無料に設定するのが当たり前でした。
しかし、最近の配送費の値上げが影響し、送料無料では利益が出ないといったケースが少なくありません。
この原因の本質は、配送費の値上げではなく、商品の価格設定です。送料の値上げ分を吸収できない商品価格になっていることが問題なのです。消費者はこれまでの送料無料の流れが染み付いてしまっており、商品の配送費に料金を支払うことの価値を見出しにくくなっています。
そのため、送料をもらうという方向ではなく、別の名目で価値を与えた分を送料に充当するほうが戦略として正しいと言えるでしょう。