実は、先に述べたクリエイティブABテストを実施している企業でも、広告売上を左右するにもかかわらず忘れがちな要素があります。「ターゲット>オファー>クリエイティブ」広告の反応に与える影響は、この順序で大きくなるのです。
一番に重視するべきなのは「ターゲット」です。つまり、誰に広告を見せたいのかということです。当然と言えば当然ですが、男性に女性向けの商品の広告を見せても反応は取れません。化粧品・健康食品業界で昔よくあったのは、アフィリエイトなどのポイントサイトに広告を掲載した場合に、サンプルゲッター、ポイントゲッターと呼ばれる消費者ばかりが購入してしまい、返品が多くなったり、そのあとの引き上げがほとんど取れなかったりすることに繋がってしまったという例です。ポイントサイトをよく利用する女性と、美容雑誌が運営するウェブサイトをよく利用する女性では、その客層は当然大きく異なるはずです。そのため、ターゲットのテストをする場合には、広告をどの媒体に出しているかという点がポイントになります。年齢層から趣味嗜好まで、全く違うターゲットがいそうなサイトに広告を掲載して、反応を見てみるのです。いまの広告配信システムは媒体基準ではなく、直接ターゲットに配信しています。ここでの考え方は、このあとの項目で詳しく述ベていきます。
次が「オファー」です。オファーというのは、商品の価格をはじめとする、消費者への条件の提案のことです。この条件提示が弱いと、たとえターゲットに広告が届いたとしても、購入には至りません。
例えば、同じ毛穴の悩みを持った女性にリーチしたとしても、学生と会社員では、1ヶ月に美容に使える額が違うかもしれません。その際、適切なオファーをしていないと購入までは至らないのです。意外に思われるかもしれませんが、オファーも市場の反応を見て決定することがあります。例えば新商品の価格を8,000円として販売するほうがいいのか、それとも5,000円として販売したほうがいいのか。これを検証するためにランディングページを両方作り、違う価格を提示して広告を出してみる。同じ広告ならば当たり前に安いほうが売れるだろうと思う人もいるかもしれませんが、実際にはそうではない場合もあります。「安いから売れるだろう」というのは思い込みの可能性があるため、まずは市場の反応を確かめることは重要なのです。
そして最後に、「クリエイティブ」です。訴求・コピー・表現・写真などの部分となります。実は、クリエイティブというのはこれまでお話しした2点を前提とするため、最後に見直すべき部分なのです。「ターゲット>オファー>クリエイティブ」この順序はとても重要です。よく、「このランディングページのコンバージョンを改善したい」というお問い合わせを受け、ランディングページや広告を拝見することがあります。その際、コピーや表現などのクリエイティブ面よりも、出稿している媒体や掲載面、オファーから見直したほうが良いケースが多々あります。表現ではなく、その前の段階にあるオファーが顧客にとって魅力的でないということです。販売価格に限って言えば、もちろん十分に利益が取れてビジネスができる価格を提示しているのだと思いますが、その条件提示の方法が魅力的ではないのです。