基本的にサンプルやトライアルセットというのは、実際の商品よりも圧倒的に安い点が魅力です。ほとんどの企業が赤字を前提に提供しており、新規顧客獲得のための必要コストとして割り切って安価に提供しています。そういったコストをかけた試供品やサンプルなどのトライアルセットを販売するからには、トライアルセットの購入後、顧客をメインの本商品の販売に繋げることは必須です。
しかし、マーケティングの仕組みが出来上がっていないままトライアルセットを販売しても、価格の安さだけを魅力に感じる顧客しか購入してくれず、リピートには繋がりません。これが、2 ステップマーケティングで失敗してしまう理由です。現在トライアルセットを用いた 2 ステップマーケティングを積極的に取り入れているのは、オルビスやサントリーなど資本力のある大手の企業がほとんどです。
大手企業は資本力だけでなく、試供品やサンプルの販売後の顧客の囲い込みの仕組みが完全に出来上がっています。購入者にすぐダイレクトメール(DM)を飛ばしたり、コールセンターから電話をかけたりなど、マーケティングの仕組みがしっかりと整備されていることにも注目しておかなければなりません。
資本力の低い中小企業であっても、このようなアフターフォローも含めた仕組みづくりができていれば、トライアルセットを取り入れる余地はあると思います。
しかし、大手企業と同じレベルの環境を整えている企業はそれほど多くはないため、現状は費用対効果を考えるとトライアルセットの販売にメリットは無いと言えます。
最近ではトライアルセットからの 2 ステップマーケティングに代わり、最初から月額の定期購入商品を販売する中小メーカーが増えてきました。
トライアルセットの販売ではなく、定期購入の初回分を安くして販売する手法です。定期購入の販売であれば、初回分を安く販売したとしてもコストに見合った売上をしっかりと計上することができます。
もちろん、トライアルに比べて価格は多少アップします。初回購入のハードルは上がることにはなりますが、アフターフォローが完全ではなくても継続されやすいというメリットがあるのです。
おそらく今後も業界内での広告費の高騰は収まることはないと考えられます。そのため、資本力のない中小メーカーは広告コストを考えたビジネスモデルに転換しなければなりません。