マーケティングにおける成功法則

トライアルセットの販売はうまくいかない?

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2ステップマーケティングの罠

試供品やサンプルなど、トライアルセットを販売し、商品の良さを実感して本品を買ってもらう。以前までは、この 2 ステップマーケティングをほとんどの企業が実践していました。

もちろんこの手法は今でも推奨されることが多いマーケティング手法です。消費者は最初から高いものは買わないというのが常識であるため、まずは低いハードルを越えてもらって、そこから次のハードルへ。「お試しなら……」そう思って購入するため、トライアルセットの販売は、化粧品や健康食品とは相性の良いマーケティング手法でした。

しかし、最近ではトライアルセットを用いた 2 ステップマーケティングが機能しなくなってきています。それには広告費の高騰、トライアルセット製造コスト、消費者の考え方の変化など様々な原因が考えられます。

一番大きな原因は、新規顧客を獲得するコストがここ数年で高騰しているという点です。

昔は 1,200 円のトライアルセットを販売するために、5,000 円ほどの広告費がかけられていました。しかし、最近では広告媒体により、15,000 円程度まで広告費が高騰しています。試供品やサンプルを安価に提供しても本商品の購入にまで至らず、獲得コストを吸収できるほどの利益が出せなくなってきているのです。

もうひとつの大きな原因として、トライアルを使用している期間だけでは、消費者と十分なコミュニケーションをとることができないという面があります。

トライアルセットを使うのはよくて 1 週間程度、短いと 1 日だけという場合もあります。この短い期間では、メールや DM でのアフターフォローで商品の魅力を高めることも難しく、使用後には顧客の熱も冷めているため次に繋がりにくい。結果としてメインの商品の販売にはうまく繋がらないことになってしまうのです。

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「トライアル商品」は大手だけの戦略か?

基本的にサンプルやトライアルセットというのは、実際の商品よりも圧倒的に安い点が魅力です。ほとんどの企業が赤字を前提に提供しており、新規顧客獲得のための必要コストとして割り切って安価に提供しています。そういったコストをかけた試供品やサンプルなどのトライアルセットを販売するからには、トライアルセットの購入後、顧客をメインの本商品の販売に繋げることは必須です。

しかし、マーケティングの仕組みが出来上がっていないままトライアルセットを販売しても、価格の安さだけを魅力に感じる顧客しか購入してくれず、リピートには繋がりません。これが、2 ステップマーケティングで失敗してしまう理由です。現在トライアルセットを用いた 2 ステップマーケティングを積極的に取り入れているのは、オルビスやサントリーなど資本力のある大手の企業がほとんどです。

大手企業は資本力だけでなく、試供品やサンプルの販売後の顧客の囲い込みの仕組みが完全に出来上がっています。購入者にすぐダイレクトメール(DM)を飛ばしたり、コールセンターから電話をかけたりなど、マーケティングの仕組みがしっかりと整備されていることにも注目しておかなければなりません。

資本力の低い中小企業であっても、このようなアフターフォローも含めた仕組みづくりができていれば、トライアルセットを取り入れる余地はあると思います。

しかし、大手企業と同じレベルの環境を整えている企業はそれほど多くはないため、現状は費用対効果を考えるとトライアルセットの販売にメリットは無いと言えます。

最近ではトライアルセットからの 2 ステップマーケティングに代わり、最初から月額の定期購入商品を販売する中小メーカーが増えてきました。

トライアルセットの販売ではなく、定期購入の初回分を安くして販売する手法です。定期購入の販売であれば、初回分を安く販売したとしてもコストに見合った売上をしっかりと計上することができます。

もちろん、トライアルに比べて価格は多少アップします。初回購入のハードルは上がることにはなりますが、アフターフォローが完全ではなくても継続されやすいというメリットがあるのです。

おそらく今後も業界内での広告費の高騰は収まることはないと考えられます。そのため、資本力のない中小メーカーは広告コストを考えたビジネスモデルに転換しなければなりません。

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この記事の著者

トライアルセットの販売はうまくいかない? | 通販化粧品・健康食品業界に特化したダイレクトマーケティング支援とコンサルティング
山口尚大EC・通販コンサルタント クリームチームマーケティング代表兼CEO
2006年より化粧品、健康食品業界に特化したダイレクトマーケティング支援を行い、これまで150社250ブランド超の売上アップを実現。業界に特化した豊富な経験やノウハウ、リソースを提供している。